3.防災意識の向上と共助体制の強化
東日本大震災においては、死者・行方不明者が多数に上る一方で、住民が早期に適切な避難行動をとったことにより、被害を防止又は軽減できた事例として、「釜石の奇跡」などが挙げられる。
防災・減災の観点から、住民の防災意識の向上を図ること、防災教育・訓練の充実を図ることが重要であり、その際、地域の行政主体である市町村が中心となって、消防本部、消防団、婦人(女性)防火クラブ*2、少年消防クラブ*3、自主防災組織*4、ボランティア組織、教育機関などが更に連携して防災教育に取り組み、地域の総合的な防災力を高めていく必要性が再認識された。
消防庁においては、将来の地域防災の担い手(消防団等)育成を図るため、少年消防クラブ員が東日本大震災の被災地の消防団等から震災の教訓を学ぶとともに、消防の実践的な活動を取り入れた訓練等を通じて他地域の少年消防クラブ員との交流を深める場として、平成24年8月、岩手県において初めて、「少年消防クラブ交流会」を開催した。また、これまでもインターネット等の広報媒体を通じた防災知識の普及啓発や、市町村における自主防災組織の資機材整備及び運営に対する補助や地区単位の連絡協議会の設置の促進などを行っている。
このような取組等を通じ、地域の総合的な防災力を高めるため、引き続き、地域防災の中核となる消防団をはじめ、婦人(女性)防火クラブ、少年消防クラブ及び自主防災組織の更なる充実・強化を図る必要がある。
*2 婦人(女性)防火クラブ:家庭での火災予防の知識の修得、地域全体の防火意識の高揚等を目的として組織されており、災害時には、各家庭の防火診断、初期消火訓練、防火防災意識の啓発等、地域の実情や特性に応じた防火活動を行っている。
*3 少年消防クラブ:少年少女が災害、防火・防災について学ぶ組織であり、将来の地域防災の担い手を育成する基盤的な活動として期待されている。消火訓練、避難訓練、救急訓練などの実践的な活動に向けた取組のほか、防災タウンウォッチングや防災マップづくりなど身近な防災の視点を取り入れた活動も多く行っている。
*4 自主防災組織:地域住民の連帯意識に基づき自主防災活動を行う組織で、平常時においては、防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、防災巡視、資機材等の共同購入等を行っており、災害時においては、初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所等の巡視等を行っている。

