3.研究成果をより広く役立てるために
消防研究センターでは、研究開発によって得られた成果を、全国の消防職団員をはじめとする消防関係者はもとより、より広く利活用されるよう次の活動を行っている。
(1) 一般公開
毎年4月の「科学技術週間」にあわせて、消防研究センターの一般公開を実施している。平成24年度は4月20日に実施した。
一般公開では、実験施設などの公開、展示や実演による消防研究センターにおける研究開発等の紹介を行っている。平成24年度は、平成23年東北地方太平洋沖地震による被害に関する調査結果をはじめ合計20の公開項目を設けた。
(2) 全国消防技術者会議
全国の消防の技術者が消防防災の科学技術に関する調査研究、技術開発等の成果を発表するとともに、参加する他の発表者や聴講者と討論を行う場として昭和28年(1953年)から「全国消防技術者会議」を毎年開催している。この会議では、消防機関等における研究成果、消防機器の開発・改良、火災原因調査事例に関する発表に加えて、「消防防災機器の開発等、消防防災科学論文及び原因調査事例に関する表彰」の受賞作品の発表や消防防災科学技術研究推進制度による研究成果の発表が行われている。59回目となる平成23年度の会議は、10月20日及び21日の2日間、都内で開催した。
(3) 消防防災研究講演会
消防研究センターの研究成果の発表及び消防関係者や消防防災分野の技術者や研究者との意見交換を行うため、平成9年度(1997年度)から「消防防災研究講演会」を開催している。この講演会では毎年特定のテーマを設けており、15回目となる平成23年度の講演会は「消防の視点からみた東北地方太平洋沖地震」をテーマとして、平成24年1月27日に消防研究センターで、同じ内容の講演会を3月15日に都内で開催した。
(4) 調査技術会議
消防研究センターでは、消防本部が行った火災及び危険物流出等事故に関する事故事例や最新の調査技術を互いに発表する「調査技術会議」を開催している。この会議は、調査技術や行政反映方策に関する情報を共有して消防本部の火災調査及び危険物流出等事故調査に関する実務能力を全国的に向上させることを目的としており、会議で発表された調査事例は、年度末に取りまとめてすべての消防本部に配付し、情報共有を図っている。この会議は、年間5回程度開催しており、平成23年度は、東京、名古屋、札幌、大阪、北九州の5都市で開催した。会議では、燃焼機器、車両、電気機器などの火災の調査事例のほか、東日本大震災における火災、石油タンクの事故事例など多数の事例の紹介が行われた。
(5) 消防防災機器の開発等、消防防災科学論文及び原因調査事例に関する表彰
消防防災科学技術の高度化と消防防災活動の活性化に寄与することを目的として、消防職団員や一般の方による消防防災機器の開発・改良及び消防防災に関する研究成果のうち特に優れたものを消防庁長官が表彰する制度を平成9年度から実施している。応募の資格に制限はないため、多くの人に開かれた発表の機会となっている。平成21年度から、従来の募集に加えて、優秀な原因調査事例についても表彰の対象として募集を行っている。
平成23年度は65作品の応募があり、選考委員会による選考の結果、17の受賞作品(優秀賞14編、奨励賞3編)が決定され、10月21日に全国消防技術者会議の中で表彰式及び表彰者による受賞作品の発表が行われた。
(6) 施設見学
消防研究センターでは、消防職団員や市町村の防災担当者に限らず、近隣の小中学校や自治会、防火協議会など、多くの方に実験施設や研究成果を見てもらっている。平成23年度は合計で49件1,582名の見学があった。