平成24年版 消防白書

7.防災教育の普及

(1) 地域における防災教育の推進

大規模地震、豪雨などの大規模災害による被害を軽減するためには、国民一人ひとりが出火防止、初期消火、避難、救助、応急救護等の防災に関する知識や技術を身につけることが重要である。このことを踏まえ、消防庁では、平成21年度より「地域防災スクール」の取組を推進している。
地域防災スクールとは、地方公共団体が消防職員・消防団員等を指導者として、児童、生徒や自主防災組織等の地域住民に対して、防災活動や消防に関する基礎知識や基礎的な技術を広く教え、将来の地域防災を担う人材等を育成する取組のことである。
消防庁では平成22年3月、児童、生徒、自主防災組織等の地域住民に対して消防・防災に関する知識や技術を伝えるために、「地域防災スクール」をはじめ、広く防災教育の現場において活用していただける指導者用防災教材「チャレンジ!防災48」を作成し、全国に配布するとともに、教材の内容をインターネット上で公開した(参照URL:http://www.e-college.fdma.go.jp/bosai/index.html)。平成22年度には、映像及び写真資料の充実を図るとともに、学習者が楽しみながら、災害時の状況を想定した行動を思考し、災害に対処する実践的な能力を身に付けられるよう、防災紙芝居を追加、平成24年7月には、防災紙芝居を全国に配布した。

p184_01.jpg

(2) 教育訓練体制の充実・強化

大規模地震や豪雨などの大規模災害が相次ぐ中、国内における防災・危機管理体制の充実が急務とされており、地方公共団体の幹部職員の危機管理能力及び防災担当職員の実践的対応能力の向上、さらには住民や地域の防災リーダー等の防災力の強化を図ることは緊急の課題である。
このため、消防大学校等における教育訓練については、受講対象の拡大や、その内容をより実践的かつ体系的なものとする取組を進めている。また、インターネットを活用した遠隔教育(防災・危機管理e-カレッジ*1)により、住民や消防職団員・地方公務員等を対象としたコンテンツを提供しており、今後ともカリキュラム等の充実・強化を図っていくこととしている。
平成22年度には火山災害や津波災害の映像の充実を行ったほか、平成23年度には東日本大震災の特集をはじめ、防災ゲーム「クロスロード」や外国語コンテンツ等の追加を行った。
今後、平成24年5月6日の茨城県等における竜巻災害を踏まえた内容の見直しや修正等を行う予定である。

*1 防災・危機管理e-カレッジ:大規模災害に対して、地域の防災力を高めて被害の軽減を図ることが極めて重要との認識から、地域の防災力を強化するための施策の一つとして、平成16年2月より運用を開始した無料学習システム。インターネット上で防災・危機管理に関する学びの場を提供することを目的としている。

p184_02.jpg
p185.jpg

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して、まもなく65年を迎えようとしています。この間、我が国の消防は、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。 しかしながら、平成23年3月に発生した東日本大...
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被害は、死者・行方不明者約2万人の人的被害、全壊約13万棟、半壊約25万棟の住家被害など、まさに戦後最大の規模となった。 この大災害を受け、消防庁長官の諮問機関である第26次の消防審議会に対し、「広範な地域に...
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化 地震・津波対策については、東日本大震災を踏まえ、平成23年4月に中央防災会議に設置された「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告(平成23年9月28日)にあるように、発生頻度の高い津波のみならず、発生頻度は極めて低いも...
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等 (1) 防災基本計画の修正と地域防災計画の見直し 前述の中央防災会議専門調査会報告を基に、平成23年12月に開催された中央防災会議において、地方公共団体において作成する地域防災計画等の基本となる「防災基本計画」が修正された。従来、津波対策は震災対策の特...