平成24年版 消防白書

2.事業所の自主防災体制

事業所では、自らの施設における災害を予防するための自主防災体制がとられている。特に、平成21年6月に施行された改正消防法では、一定の大規模・高層の建築物について自衛消防組織の設置等が義務付けられた。また、一定数量以上の危険物等を取り扱う事業所は、消防法及び石油コンビナート等災害防止法に基づき、防災組織を設置することが義務付けられている。このほか、法令等により義務付けられていない事業所においても、任意に自主防災組織が設置される場合も多い。平成24年4月1日現在、全国の事業所において設置されている自衛消防組織等の防災組織は101万2,611組織となっている*6(自衛消防組織についてはP.70参照)。

*6 東日本大震災の影響により、宮城県女川町のデータについては、前々年数値(平成22年4月1現在)により集計している。

事業所の防災組織は、本来自らの施設を守るために設けられているものであるが、地震などの大規模災害が発生した際に、自主的に地域社会の一員として防災活動に参加・協力できる体制の構築が図られれば、地域防災力の充実強化に大きな効果をもたらすものと考えられる。
阪神・淡路大震災では、事業所の自衛消防隊員が地域の消火活動に出動し、住民と協力して火災の拡大を食い止めたほか、事業所の体育館が避難所として提供された。また、東日本大震災では、行政との協定に基づき、事業所が物資の提供を行った。
このように、事業所の協力が自然災害や大規模事故、テロ災害等への対応力の強化につながることを踏まえ、全国各地において、地方公共団体と事業所との間で災害時の救出救護や物資提供等に関する協定の締結が行われている。
また、多くの事業所の防災組織が、自主防災組織等の地域の組織と協定を結ぶなどして地域の防災活動に協力している。地域の組織と協力関係を定めている事業所の防災組織は、平成24年4月1日現在で7,975組織となっている。*7

*7 東日本大震災の影響により、宮城県女川町のデータについては、前々年数値(平成22年4月1現在)により集計している。

関連リンク

はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする自治体消防制度が誕生して、まもなく65年を迎えようとしています。この間、我が国の消防は、関係者の努力の積み重ねにより着実に発展し、国民の安心・安全確保に大きな役割を果たしてきました。 しかしながら、平成23年3月に発生した東日本大...
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応
第I部 東日本大震災を踏まえた課題への対応 平成23年3月11日に発生した東日本大震災による被害は、死者・行方不明者約2万人の人的被害、全壊約13万棟、半壊約25万棟の住家被害など、まさに戦後最大の規模となった。 この大災害を受け、消防庁長官の諮問機関である第26次の消防審議会に対し、「広範な地域に...
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化
第1章 地震・津波対策の推進と地域防災力の強化 地震・津波対策については、東日本大震災を踏まえ、平成23年4月に中央防災会議に設置された「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」の報告(平成23年9月28日)にあるように、発生頻度の高い津波のみならず、発生頻度は極めて低いも...
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等
1.防災基本計画の修正と災害対策基本法の改正等 (1) 防災基本計画の修正と地域防災計画の見直し 前述の中央防災会議専門調査会報告を基に、平成23年12月に開催された中央防災会議において、地方公共団体において作成する地域防災計画等の基本となる「防災基本計画」が修正された。従来、津波対策は震災対策の特...