平成26年版 消防白書

4.防災管理制度

(1) 防災管理者

消防法では、切迫する大地震等の危険に対応するため、平成19年6月の消防法改正により、大規模・高層建築物等の管理について権原を有する者(以下「管理権原者」という。)に対して、地震災害等に対応した防災管理に係る消防計画*8を作成し、地震発生時に特有な被害事象に関する応急体制や避難の訓練の実施等を担う防災管理者*9の選任及び火災その他の災害による被害を軽減するために必要な業務等を行う自衛消防組織*10の設置を義務付けている。

*8 防災管理に係る消防計画:防災管理上必要な事項を定めた計画書であり、防災管理者は当該計画を作成するとともに、本計画に基づいて防災管理業務を遂行するものである。
*9 防災管理者:防災管理に関する講習の課程を修了した者等一定の資格を有し、かつ、防災管理対象物において防災管理上必要な業務を適切に遂行できる管理的又は監督的な地位にある者で、管理権原者から選任された者
*10 自衛消防組織:防火対象物の従業員等からなる人的組織であって、消防計画に定められた役割により、火災等の災害発生時における被害を軽減するために必要な業務を行うものである。

平成26年3月31日現在、法令により防災管理体制を確立し防災管理者を選任しなければならない防災管理対象物は、全国に9,419件あり、そのうち78.7%に当たる7,409件について防災管理者が選任され、その旨が消防機関に届け出されている。

また、防災管理者が自らの事業所等の適正な防災管理業務を遂行するために防災管理に係る消防計画を作成し、その旨を消防機関へ届け出ている防災管理対象物は6,762件で全体の71.8%、自衛消防組織を設置している防災管理対象物は7,813件で全体の82.9%となっている(第1-1-30表)。

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(2) 統括防災管理者

消防法では、防災管理を要する建築物等のうち、管理権原が分かれているものについては、各々の管理権原が存する部分ごとに防災管理者を選任して防災管理を実施する一方、建築物全体の防災管理を一体的に行うため、統括防災管理者を協議して定め、防災管理対象物全体の防火・防災安全を確立することが各管理権原者に対して義務付けられている。
なお、平成26年3月31日までは、従来の共同防災管理制度(防災管理対象物の管理権原者のうち主要な者を代表者とする共同防災管理協議会を設け、防災管理に係る消防計画の作成その他の必要な業務に関する事項を協議して定め、共同で防災管理を行う)となっており、平成26年3月31日現在の共同防災管理協議事項の届出率は、81.5%となっている(第1-1-31表)。

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