5.立入検査と違反是正
(1) 立入検査と違反是正の現況
消防機関は、火災予防のために必要があるときは、消防法第4条の規定により防火対象物に立ち入って検査を行っている。
平成25年度中に全国の消防機関が行った立入検査回数は、89万617回となっている(第1-1-32表)。

立入検査等により判明した防火対象物の防火管理上の不備や消防用設備等の未設置等について、消防長又は消防署長は、消防法第8条、第8条の2又は第17条の4の規定に基づき、防火管理者の選任、消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置等必要な措置を講じるべきことを命ずることができる。また、火災予防上危険であると認める場合には、消防法第5条、第5条の2又は第5条の3の規定に基づき、当該防火対象物の改修、移転、危険排除等の必要な措置や使用禁止、制限等を命ずることができるとされており、これらの命令をした場合には、その旨を公示することとされている。
このように立入検査等を行った結果、消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は、警告等の改善指導及び命令等を行い、法令に適合したものとなるよう違反状態の是正に努めている(第1-1-33表、附属資料24、25、26)。

特に、特定違反対象物(床面積1,500m2以上の特定防火対象物及び地階を除く階数が11以上の非特定防火対象物のうち、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は自動火災報知設備がその設置義務部分の過半にわたって未設置の防火対象物をいう。)については、火災発生時における人命の危険性が大きい等、その違反の重大性を踏まえ、厳しく指導を行っている。
なお、平成26年3月31日現在、249件の特定違反対象物が存在していることから、引き続き重点的な違反是正の徹底を図っていく必要がある(第1-1-34表)。

(2) 新「適マーク制度」の運用開始
平成25年10月に全国の消防本部に通知した新たな表示制度は、消防法令及び建築法令への適合性を利用者に情報提供するものであり、平成26年4月1日からの申請・受付を開始し、8月1日から順次、ホテル・旅館等への表示マーク掲出が開始されている。
(3) 違反対象物の公表制度の運用開始
平成25年12月の通知による「違反対象物の公表制度」は、不特定多数の者が出入する防火対象物で、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備又は自動火災報知設備の設置義務があるにもかかわらず未設置であるものについて、市町村等の条例に基づき、ホームページに法令違反の内容等を公表する制度であり、平成27年4月までには、全ての政令指定都市において公表制度が開始される見込みである。