平成26年版 消防白書

9.火災原因調査の現況

科学技術の進歩による産業の高度化及び社会情勢の変化に伴い、大規模又は複雑な様相を呈する火災が頻発する傾向にあり、その原因の究明には高度な専門的知識が必要である。また、火災の原因を究明し、火災及び消火によって生じた損害の程度を明らかにすることは、その後の火災予防行政のあり方を検討する上で必要不可欠な資料を提供するものである。火災の原因究明は一義的には地方公共団体の役割であるが、それを補完することは国の責務である。これらを踏まえ、消防機関から要請があった場合及び消防庁長官が特に必要があると認めた場合は、消防庁長官による火災原因調査を行うことができることとされている(P. 269参照)。本制度による火災原因調査は、火災種別に応じて消防庁の職員により編成される調査チームが、消防機関と連携して実施するものであり、調査から得られた知見、資料を基に検討が行われ、消防行政の施策に反映されている。最近行われた消防庁長官による火災原因調査とその結果を踏まえた対応は第1-1-41表のとおりである。

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また、製品火災に係る火災原因調査の実効性の向上を図るため、「消防法の一部を改正する法律」(平成24年法律第38号)により、消防機関に対し、製造・輸入業者への資料提出命令権及び報告徴収権を付与されている(平成25年4月1日施行)。

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