平成26年版 消防白書

[ガス災害対策]

1.ガス災害の現況と最近の動向

(1) 事故の発生件数

平成25年中に発生した都市ガス及び液化石油ガス(LPG)の漏えい事故又は爆発・火災事故のうち消防機関が出動したもの(以下「ガス事故」という。)の総件数は764件であり、前年の事故件数1,083件と比べ319件の減少となっている*2。これをガスの種類別にみると、都市ガスによるものが451件、液化石油ガスによるものが313件となっている(第1-8-2図)。

*2 平成25年中のガス事故発生件数(総件数)が前年の事故発生件数と比べ319件と大幅に減少した主な理由は、一部の消防本部において、平成25年から対象事故の捉え方を見直したことによるものである。なお、仮に当該見直しを行わなかった場合における平成25年中のガス事故発生件数(総件数)は、983件(都市ガス660件、液化石油ガス323件)となる。

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ガス事故の発生件数を態様別にみると、漏えい事故が75.1%、爆発・火災事故が24.9%である。これをガスの種類別にみると、都市ガスでは89.1%が漏えい事故、10.9%が爆発・火災事故であるのに対し、液化石油ガスでは55.0%が漏えい事故、45.0%が爆発・火災事故となっている(第1-8-2図)。

ガス事故の発生件数を発生場所別にみると、消費先におけるものが63.2%、ガス導管におけるものが31.8%となっている(第1-8-3図)。

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また、当該消費先におけるガス事故の発生件数を発生原因別にみると、元栓(コック)の誤操作・火の立ち消え等、消費者に係るものが57.1%、ガス事業者等に係るものが10.6%となっている。

(2) ガス事故による死傷者数

平成25年中に発生したガス事故(自損行為によるものを含む。)による死者数は5人、負傷者数は132人である。死者数は、都市ガスによるものが2人、液化石油ガスによるものが3人となっており、負傷者数は、都市ガスによるものが31人、液化石油ガスによるものが101人となっている。
死傷者を事故の態様別にみると、死者数は爆発・火災事故によるものが80.0%となっており、負傷者数は爆発・火災事故によるものが88.6%となっている(第1-8-4図)。

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(3) 自損行為によるガス事故

平成25年中に発生したガス事故のうち、自損行為に起因する事故は、ガス事故全体の2.0%に当たる15件で、これらの事故による死者数は1人(死者全体の20.0%)、負傷者数は9人(負傷者全体の6.8%)となっている。

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