平成26年版 消防白書

第8節 その他の災害対策

[火山災害対策]

1.平成25年以降の主な火山活動の動向

桜島では、昭和火口で爆発的噴火が発生するなど、活発な噴火活動が継続した。昭和火口及び南岳山頂火口からおおむね2kmの範囲では、噴火による大きな噴石及び火砕流に警戒が必要な状況が続いていることから、桜島の噴火警戒レベル3となっている。

西之島では、噴火による噴石等の堆積や溶岩の流出により、新たに形成された陸地の拡大の継続が確認されている。西之島及びそれらの付近の海域では噴火に警戒が必要なことから、気象庁は平成26年6月3日に火口周辺警報を発表し、警戒事項を火口周辺危険から入山危険に引き上げた。また、6月11日に火口周辺警報(入山危険)及び火山現象に関する海上警報を切り替え、警戒が必要な範囲を西之島の中心から概ね6km以内と明示した。

平成26年8月3日午後0時24分頃口永良部島の新岳付近で噴火が発生し、灰色の噴煙が火口縁上800m以上まで上がった。同日火口周辺警報を気象庁が発表し、噴火警戒レベルを1(平常)からレベル3(入山規制)に引き上げた。また、火砕流に対する警戒も必要となったことから、8月7日に火口周辺警報を切り替え(噴火警戒レベル3継続)、新岳火口からおおむね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石と向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒が必要とした。
また、再度の噴火の危険性があることから島内全域への避難準備情報が発令され、それを受けて一部の島民が島外へ避難した。

平成26年9月27日午前11時52分頃御嶽山で噴火が発生し、噴煙は東に流れ、その高度は火口縁上約7,000mと推測される。御嶽山の西側の岐阜県下呂市萩原町から東側の山梨県笛吹市石和町にかけての範囲で降灰が確認された。気象庁は、山頂火口から4km程度の範囲では、噴火に伴う大きな噴石の飛散等に警戒が必要なことから、同日火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)からレベル3(入山規制)に引き上げた。また、火砕流にも警戒が必要なことから、9月28日にも火口周辺警報を切り替えた(レベル3は継続)。
この噴火により、負傷者が多数発生しているとの情報を受け、消防庁では、9月27日午後2時30分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し、情報収集体制の強化を図るとともに、甚大な被害状況から、午後8時20分には国民保護・防災部長を長とする「消防庁災害対策本部(第2次応急体制)」に改組した。さらに、9月28日午後5時00分には、災害対策基本法第24条第1項に基づき、政府に「平成26年(2014年)御嶽山噴火非常災害対策本部」が設置されたことを受け、消防庁の体制を消防庁長官を長とする「消防庁災害対策本部(第3次応急体制)」に改組した。
また、9月27日午後8時30分、長野県知事から消防庁長官に対して緊急消防援助隊の派遣要請が行われ、消防庁では、直ちに消防庁長官から4都県(東京都、山梨県、静岡県、愛知県)に対して緊急消防援助隊の出動を要請した。10月14日には、救助体制の強化を図るため、新たに消防庁長官から富山県及び岐阜県に対して緊急消防援助隊の出動を要請し、9月27日から10月17日までの21日間で延べ1,049隊4,332人が救助活動等を行った。
御嶽山の噴火による人的被害は、死者57人(長野県)、行方不明者6人(長野県)、負傷者69人となっている。

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