平成26年版 消防白書

2.石油コンビナート災害に対応するためドラゴンハイパー・コマンドユニットの創設

平成15年十勝沖地震で発生した出光興産(株)北海道製油所原油貯蔵タンク火災や、平成23年東日本大震災では、東北から関東にかけ複数の石油コンビナート等特別防災区域内の危険物施設等や特定防災施設等で火災等が発生し、石油等のサプライチェーンの途絶など経済的にも大きな影響を与えた。
このように、エネルギー・産業基盤で爆発・火災が発生した場合、周辺地域に危険を及ぼすだけでなく、石油等の不足により、我が国の国民生活に長期にわたって深刻な影響が生じることになる。サプライチェーンを維持し、復旧・復興を円滑に進めるためにも、エネルギー・産業基盤の災害を最小限に抑えることが重要であり、そのための消防力を更に強化しなければならない。

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このため、石油コンビナート・化学プラント等のエネルギー・産業基盤の被災に備え、特殊災害の対応に特化した部隊であるエネルギー・産業基盤災害即応部隊(ドラゴンハイパー・コマンドユニット)を新設し、平成30年度末までに全国12地域に部隊配備を予定している。
この部隊は、従来の大型化学消防車・高所放水車・泡原液搬送車に加え、大規模爆発等の消火・延焼防止のための長時間大容量放水による消火活動を行うために新たに開発された、エネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システムを中核として構成される。
平成26年度は、千葉県市原市消防局及び三重県四日市市消防本部にドラゴンハイパー・コマンドユニットを設置し、このエネルギー・産業基盤災害対応型消防水利システムを配備する予定である。
また、地理空間情報を活用し、人が近づけない現場でも近接して放水・情報収集活動を行う消防ロボットを研究開発するなど、順次高次化を図ることとしている。

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