平成27年版 消防白書

1.火災事故

危険物施設における平成26年中の火災事故の発生件数は、平成元年以降火災事故が最も少なかった平成5年(1993年)の107件と比較すると、危険物施設数が減少しているにもかかわらず、約1.9倍に増加している。主な発生要因については、維持管理不十分、操作確認不十分等の人的要因によるものが多くを占めているが、設計不良等の物的要因によるものも増加の傾向にある。

(1) 危険物施設における火災事故発生件数と被害

平成26年中の危険物施設における火災事故の発生件数は203件(対前年比15件増)、損害額は2,140百万円(同2,194百万円減)、死者は1人(同6人減)、負傷者は64人(同9人増)となっている(第1-2-2図)。

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また、危険物施設別の火災事故の発生件数をみると、一般取扱所が最も多く、次いで製造所、給油取扱所の順となっており、これらの3施設区分の合計で全体の92.6%を占めている(第1-2-3図)。

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一方、火災事故203件のうち116件(全体の57.1%)は、危険物が出火原因物質となっている(第1-2-4図)。

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(2) 危険物施設における火災事故の発生要因

平成26年中に発生した危険物施設における火災事故の発生要因をみると、人的要因が61.1%、物的要因が28.1%、その他の要因、不明及び調査中を合計したものが10.8%となっている(第1-2-5図)。

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また、着火原因別にみると、静電気火花が42件(対前年比7件増)と最も多く、次いで高温表面熱が33件(同14件増)、過熱着火が22件(同6件減)となっている(第1-2-6図)。

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(3) 無許可施設における火災事故

危険物施設として許可を受けるべき施設であるにもかかわらず、許可を受けていないもの(以下「無許可施設」という。)における平成26年中の火災事故の発生件数は6件(対前年比1件増)であり、死者は1人(同1名減)、負傷者は5人(前年同数)となっている。

(4) 危険物運搬中の火災事故

平成26年中の危険物運搬中の火災事故は発生していない。

(5) 仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故

平成26年中の仮貯蔵・仮取扱い中の火災事故は、平成25年に引き続き発生していない。

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