平成27年版 消防白書

[風水害対策の現況]

1.風水害対策の概要

梅雨前線の影響による大雨や台風の日本列島への接近・上陸は、しばしば日本列島に大きな被害をもたらしている。また近年は、短時間強雨の回数が増加傾向にあり、短時間に局地的に非常に激しい雨が降ることで中小河川の急な増水、アンダーパス*1の浸水等を引き起こし、被害を生じさせる事例が多く発生している。

洪水、土砂災害、高潮、暴風・竜巻・突風などの風水害の様々な態様に対し、万全の対策がとられる必要がある。特に、避難勧告等の具体的な発令基準の整備、要配慮者*2・避難行動要支援者*3対策は、災害による人的被害を防ぐための対策として非常に重要であり、早急な体制整備が必要である。

消防庁では、都道府県や市町村に対して、人命の安全の確保を最重点とする風水害対策の実施に係る、災害応急対策の実施体制の確立、適時適切な避難勧告等の発令・伝達、災害危険箇所等に対する措置、要配慮者・避難行動要支援者等の避難支援対策の推進、指定緊急避難場所・指定避難所等の安全性の確保や地域住民への周知徹底、迅速かつ安全な避難が行われるための取組の推進について、毎年、特に風水害の発生が多くなる出水期(梅雨期や台風到来期)を前に呼びかけを行っている。また、大雨による土砂災害の発生や、中小河川の急激な増水、地下空間の浸水による災害が発生していることにかんがみ、こうした事例に対しても注意を喚起しているほか、実践的な防災訓練の実施、防災知識の普及啓発について要請している。

*1 アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分をいう。周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっている。
*2 要配慮者:高齢者、障がい者、乳幼児その他の特に配慮を要する者
*3 避難行動要支援者:要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者

関連リンク

平成27年版 消防白書(PDF版)
平成27年版 消防白書(PDF版) 平成27年版 消防白書(一式)  はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~  特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊  特集2 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  トピック...
はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~
はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~ 本白書が発行される平成27年は阪神・淡路大震災から20年に当たる節目の年である。この20年間、阪神・淡路大震災を教訓に、消防においても様々な対応がなされてきた。 そのひとつとして緊急消防援助隊があげられる。平成7年に...
特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊
特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊 平成7年(1995年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、死者・行方不明者6,437人、負傷者4万3,792人、家屋被害63万9,686棟の被害があり、兵庫県内の消防応援のほか全国41都道府県、延べ約3万2,000人の消防応援が実施された。他方、近代...
1.緊急消防援助隊の充実強化に向けて
1.緊急消防援助隊の充実強化に向けて 緊急消防援助隊が更なる発展を遂げるため、運用の充実強化に向けて、以下の課題に取り組んでいる。 (1) 迅速な出動と展開 緊急消防援助隊は、消火、救助、救急及びそれらの前提となる情報収集等、国民の生命に直結する緊急性の最も高い活動を求められる部隊であり、迅速な出動...