平成27年版 消防白書

2.平成27年1月から10月までの主な風水害(第1-5-3表)

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(1) 台風第11号に係る被害状況

7月4日3時にマーシャル諸島で発生した台風第11号は、16日23時頃、高知県室戸市付近に上陸し、比較的ゆっくりとした速度で四国・中国地方を北上し、17日午後には日本海を北東に進んだ。
台風や台風に向かって暖かく湿った空気が入った影響で、西日本と東日本を中心に雨量が多くなり、特に、近畿地方では、24時間降水量が7月の月降水量平年値を上回った地点が多くあり、最大24時間降水量が観測史上1位となった地点があった。また、西日本では暴風となったほか、海上は、西日本と東日本の太平洋側を中心に大しけとなった。
台風第11号による人的被害は死者2人(埼玉県1人、兵庫県1人)、負傷者59人となっているほか、土砂災害による住家や道路の被害、浸水被害が多数発生した。
消防庁では、7月15日17時12分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し情報収集体制の強化を図った。

(2) 台風第15号に係る被害状況

台風は、8月23日夜から24日明け方にかけて、非常に強い勢力で先島諸島に接近・通過した後、沖縄本島や奄美大島の西海上を北東に進み、25日未明には薩摩半島の西の海上に達した。その後、25日6時過ぎに熊本県荒尾市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま九州北部を北上し、25日昼前に、日本海に達した。
沖縄県の石垣島で8月23日21時16分に71.0メートルの最大瞬間風速を観測する等、南西諸島や九州を中心に猛烈な風が吹き、海上は猛烈なしけとなり、西日本から東日本にかけての広い範囲で、風が強く、うねりを伴い波が高くなった。
台風や南から流れ込む暖かく湿った空気の影響で、南西諸島や西日本、東海地方で大雨となり、九州や山口県、三重県で局地的に猛烈な雨が降った。
台風第15号による人的被害は死者1人(熊本県)、負傷者134人となっているほか、土砂災害による住家や道路の被害、浸水被害が多数発生した。
消防庁では、8月24日10時54分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し情報収集体制の強化を図った。

(3) 台風第18号に伴う被害状況(平成27年9月関東・東北豪雨に係る被害状況含む)

台風第18号が9月9日9時半頃に愛知県西尾市付近に上陸した後、日本海に進み、同日15時に温帯低気圧に変わった。台風第18号や台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で、西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となり、特に関東地方と東北地方では記録的な大雨となった。この大雨の影響で、9月10日0時20分、栃木県に対して大雨特別警報が発表され、同日7時45分、茨城県に大雨特別警報が発表された。さらに、翌11日3時20分、宮城県に対して大雨特別警報が発表された。
平成27年9月9日から11日に関東地方及び東北地方で発生した豪雨については、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名された。
9月10日11時50分、茨城県知事から消防庁長官に対して緊急消防援助隊の要請が行われ、消防庁では直ちに消防庁長官から、埼玉県、東京都に対して緊急消防援助隊の出動を要請した。その後、同日12時30分には、救助体制を強化するため、新たに消防庁長官から群馬県、山梨県に対して緊急消防援助隊の要請をし、同日20時00分には千葉県に対して緊急消防援助隊の要請をした。翌11日4時45分には、宮城県知事から消防庁長官に対して緊急消防援助隊の要請が行われ、消防庁では直ちに消防庁長官から、新潟県に対して緊急消防援助隊の出動を要請した。その後、同日10時05分に新潟県に対し茨城県への部隊移動を要請した。9月10日から17日までの8日間で延べ572隊2,246人が救助活動等を行った。
台風第18号に伴う人的被害(平成27年9月関東・東北豪雨含む)は、死者8人(宮城県2人、茨城県3人、栃木県3人)、負傷者79人となった。特に鬼怒川(茨城県常総市)、渋井川(宮城県大崎市)の堤防決壊により住家や道路等の被害が多数発生した。
消防庁では、9月8日16時48分に応急対策室長を長とする「消防庁災害対策室(第1次応急体制)」を設置し情報収集体制の強化を図るとともに、甚大な被害状況から、同月10日7時10分には国民保護・防災部長を長とする「消防庁災害対策本部(第2次応急体制)」に改組した。さらに、同日14時15分には、消防庁の体制を消防庁長官を長とする「消防庁災害対策本部(第3次応急体制)」に改組した。

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