平成27年版 消防白書

2.訓練の推進

緊急消防援助隊が、速やかに応援部隊を編成して被災地に出動し、各部隊が一元的な指揮の下に連携した活動を実施するためには、平時からの緊急消防援助隊としての教育訓練が重要となる。

(1) 全国合同訓練

緊急消防援助隊が発足した平成7年(1995年)、東京都江東区において、天皇陛下の行幸を賜り、98消防本部、1,500人の隊員による全国合同訓練が初めて行われた。その後は5年ごとに開催されており、平成12年(2000年)に第2回を再び東京都で、平成17年には第3回を静岡県で、そして、平成22年には第4回を愛知県をはじめ和歌山県、徳島県の3県で、平成27年11月には、第5回全国合同訓練を千葉県において実施した。
平成27年11月13日、14日に開催した第5回全国合同訓練では、警察・自衛隊・海上保安庁・DMAT等の関係機関を含め、約3,000人が参加し、過去最大規模の全国合同訓練を実施した。
南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模災害への対応力を強化するため、複合的に広範囲で災害が発生したと想定し、千葉県や千葉市消防局等において行う図上訓練と部隊参集訓練、実動訓練を連動させ、事前に訓練内容を明らかにしないブラインド型により実施した。
訓練では、全国から陸路により進出するほか、自衛隊の輸送機・大型ヘリ、民間フェリー・航空機など多様な手段により参集し、陸路で迅速な進出が困難な場合における対応を検証した。
また、県災害対策本部で調整した、消防、警察、自衛隊などの関係機関共通の活動方針などを踏まえ、消火活動、救助活動、救急搬送、ヘリコプターの活動等を行うなど、災害現場だけでなく、県災害対策本部や市災害対策本部の各レベルにおいて、関係機関と縦・横の連携した訓練を実施した。さらに、統合機動部隊の先遣出動やエネルギー・産業基盤災害即応部隊(ドラゴンハイパー・コマンドユニット)の石油コンビナート地域での災害対応など、新設部隊の運用強化を行った。
消防庁では、今回の訓練成果を踏まえ、災害時に緊急消防援助隊が力を十分に発揮できるよう、毎年行われる地域ブロック合同訓練等で、更なる能力の向上に努めることとしている。

p7_01.jpg
p7_02.jpg
p8_01.jpg
p8_02.jpg
p8_03.jpg
p8_04.jpg

(2) 地域ブロック合同訓練

隊員の技術向上と部隊間の連携強化を目的に、平成8年度(1996年度)から、毎年、全国を6つのブロックに区分して地域ブロックごとに合同訓練を行っている。緊急消防援助隊の活動能力を高めていくためには、広域消防応援体制の更なる強化が求められていることから、消防庁としてのオペレーション機能の強化を図るとともに、登録部隊の計画的な増強及び車両、航空機、資機材等の整備の推進、緊急消防援助隊の活動に即したより実戦的な教育訓練の実施など、様々な課題に引き続き取り組んでいく。

関連リンク

平成27年版 消防白書(PDF版)
平成27年版 消防白書(PDF版) 平成27年版 消防白書(一式)  はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~  特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊  特集2 消防団を中核とした地域防災力の充実強化  トピック...
はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~
はじめに 阪神・淡路大震災から20年 ~2つの大震災を踏まえた消防防災体制の充実~ 本白書が発行される平成27年は阪神・淡路大震災から20年に当たる節目の年である。この20年間、阪神・淡路大震災を教訓に、消防においても様々な対応がなされてきた。 そのひとつとして緊急消防援助隊があげられる。平成7年に...
特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊
特集1 創設20周年を迎えた緊急消防援助隊 平成7年(1995年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、死者・行方不明者6,437人、負傷者4万3,792人、家屋被害63万9,686棟の被害があり、兵庫県内の消防応援のほか全国41都道府県、延べ約3万2,000人の消防応援が実施された。他方、近代...
1.緊急消防援助隊の充実強化に向けて
1.緊急消防援助隊の充実強化に向けて 緊急消防援助隊が更なる発展を遂げるため、運用の充実強化に向けて、以下の課題に取り組んでいる。 (1) 迅速な出動と展開 緊急消防援助隊は、消火、救助、救急及びそれらの前提となる情報収集等、国民の生命に直結する緊急性の最も高い活動を求められる部隊であり、迅速な出動...