平成29年版 消防白書

7.消防用機械器具等の検定等

(1)検定

検定の対象となる消防用機械器具等(以下「検定対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の2の規定により、検定に合格し、その旨の表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。
検定対象機械器具等は、消火器、閉鎖型スプリンクラーヘッド等、消防法施行令第37条に定める12品目である。
この検定は、「型式承認」(形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合している旨の承認)と「型式適合検定」(個々の検定対象機械器具等の形状等が、型式承認を受けた検定対象機械器具等の型式に係る形状等と同一であるかどうかについて行う検定)からなっている(附属資料1-1-50)。
また、新たな技術開発等に係る検定対象機械器具等について、その形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合するものと同等以上の性能があると認められるものについては、総務大臣が定める技術上の規格によることができることとし、これらの検定対象機械器具等の技術革新が進むよう検定制度の整備充実を図っている。
検定制度については、平成20年10月に消防用ホースの型式適合検定時に試験サンプルをすり替えるなどの不正行為が、また、平成22年3月に消防車両の圧縮空気泡消火装置等に用いられる泡消火薬剤が検定を受けずに販売されていたことが判明した。さらに、平成22年5月に実施された公益法人事業仕分けにおいて、「検定」について自主検査・民間参入拡大に向けた「見直し」等の評価結果が出された。
これらを踏まえ、消防法の一部を改正する法律が平成24年6月27日に公布され、規格不適合品や規格適合表示のない検定対象機械器具等を市場に流通させた場合の総務大臣による回収命令の創設や罰則の強化、登録検定機関の民間参入を促進するための要件緩和等が定められた。
また、消防法施行令の一部を改正する政令(平成25年3月27日公布)により、検定対象機械器具等のうち、主として消防機関が使用する「消防用ホース」及び「結合金具」、並びに建築物の実態変化でニーズが低下した「漏電火災警報器」を自主表示の対象品目へ移行する一方で、全住宅に設置が義務付けられている「住宅用防災警報器」を新たに検定対象機械器具等に追加した(平成26年4月1日施行)。

(2)自主表示

自主表示の制度は、消防法第21条の16の3の規定により、製造事業者等の責任において、自ら規格適合性を確認し、あらかじめ総務大臣に届出を行った型式について表示を付すことが認められるものである。平成28年度中の製造事業者からの届出は、動力消防ポンプ16件、消防用ホース16件、消防用吸管1件、結合金具15件、エアゾール式簡易消火具0件及び漏電火災警報器9件となっている。
自主表示の対象となる機械器具等(以下「自主表示対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の16の2の規定により、表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。
また、検定対象機械器具等と同様に、消防法の一部を改正する法律(平成24年6月27日公布)により、規格不適合品や規格適合表示のない自主表示対象機械器具等に係る総務大臣による回収命令の創設及び罰則の強化が行われている。
自主表示対象機械器具等の対象品目は、「動力消防ポンプ」及び「消防用吸管」のほか、消防法施行令の一部を改正する政令等(平成25年3月27日公布)により、従来、検定対象機械器具等であった「消防用ホース」、「結合金具」及び「漏電火災警報器」、並びに一般に広く流通している一方で破裂事故等が多発している「エアゾール式簡易消火具」を新たに追加した(平成26年4月1日施行)。

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