平成29年版 消防白書

2.道府県・消防機関における防災体制

(1)防災体制の確立

特別防災区域が所在する道府県では、石油コンビナート等災害防止法に基づき、石油コンビナート等防災本部(以下「防災本部」という。)を中心として関係機関等が一致協力して、総合的かつ計画的に防災体制を確立している。
防災本部は、石油コンビナート等防災計画(以下「防災計画」という。)の作成、災害時における関係機関との連絡調整、防災に関する調査研究の推進等の業務を行っている。

(2)災害発生時の応急対応

特別防災区域で災害が発生した場合、その応急対応は、防災計画の定めるところにより、防災本部を中心として、道府県、市町村、関係機関、特定事業者等が一体となって行われる。
消防機関は、災害発生時において、防御活動の実施、自衛防災組織等の活動に対する指示を行う等の重要な役割を担っている。

(3)特別防災区域所在市町村等の消防力の整備

特別防災区域内で発生する災害は、大規模かつ特殊なものになるおそれがあり、それら災害に対応するための消防力を整備することは重要である。
消防庁は、市町村の消防機関が基準とする「消防力の整備指針」において、特別防災区域に係る災害に対処するために保有すべき消防力を示し、その整備を図っている。また、緊急消防援助隊のエネルギー・産業基盤災害即応部隊(ドラゴンハイパー・コマンドユニット)の体制整備、高度な消防ロボットの研究開発を行っている。
平成29年4月1日現在、特別防災区域所在市町村の消防機関には、大型化学消防車73台、大型高所放水車57台、泡原液搬送車88台、大型化学高所放水車24台、3%泡消火薬剤2,975kl、6%泡消火薬剤653kl、消防艇23艇等が配備され、市町村の消防力を補完し特別防災区域の防災体制を充実強化するため、特別防災区域所在道府県においても、泡原液貯蔵設備28基、可搬式泡放水砲5基等が配備されている。

関連リンク

平成29年版 消防白書(PDF版)
平成29年版 消防白書(PDF版) 平成29年版 消防白書(一式)  はじめに  特集1 平成29年7月九州北部豪雨の被害と対応  特集2 糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方  特集3 埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた対応  特集4 消防の...
はじめに
はじめに 昭和23年に消防組織法が施行され、市町村消防を原則とする我が国の自治体消防制度が誕生してから、平成30年3月には70年を迎えます。この間、関係者の努力の積重ねにより消防制度や施策、消防防災施設等の充実強化が図られ、火災予防・消火、救急、救助はもとより、自然災害への対応や国民保護まで広範囲に...
1.災害の概要
特集1 平成29年7月九州北部豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成29年6月30日から7月4日にかけて、梅雨前線が北陸地方や東北地方に停滞し、その後ゆっくり南下して、7月5日から10日にかけては朝鮮半島付近から西日本に停滞した。 また、7月2日9時に沖縄の南で発生した台風第3号は...
2.政府・消防庁・消防機関等の活動
2.政府・消防庁・消防機関等の活動 (1)政府の活動 内閣官房は、情報の集約、内閣総理大臣等への報告、関係省庁との連絡調整を集中的に行うため、7月3日16時46分に総理大臣官邸に情報連絡室を設置した。7月5日17時51分に福岡県に大雨特別警報が発表され、予想されるその後の気象状況により、甚大な被害が...