平成29年版 消防白書

[風水害対策の現況]

1.風水害対策の概要

梅雨前線の影響による大雨や台風の日本列島への接近・上陸は、しばしば日本列島に大きな被害をもたらしている。また近年は、短時間強雨の回数が増加傾向にあり、短時間で局地的に非常に激しい雨が降ることにより中小河川の急な増水が引き起こされ、被害が生じる事例が多く発生しているほか、地下空間やアンダーパス*1の浸水等による被害も発生している。
洪水、土砂災害、高潮、竜巻等突風などの風水害の様々な態様に対し、万全の対策が執られる必要がある。特に、避難勧告等の具体的な発令基準の整備、要配慮者*2・避難行動要支援者*3対策は、災害による人的被害を防ぐための対策として非常に重要であり、早急な体制整備が必要である。
消防庁では、内閣府や国土交通省等と連携し、都道府県や市町村に対して、人命の安全の確保を最重点とする風水害対策の実施に係る災害応急対策の実施体制の確立、適時的確な避難勧告等の発令・伝達、災害危険箇所等に対する措置、要配慮者・避難行動要支援者等の避難支援対策の推進、指定緊急避難場所・指定避難所等の指定や安全性の確保、地域住民への周知徹底、迅速かつ安全な避難が行われるための取組の推進について、毎年、特に風水害の発生が多くなる出水期(梅雨期や台風到来期)の前に呼び掛けを行っている。

*1 アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分をいう。周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっている。
*2 要配慮者:高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者
*3 避難行動要支援者:要配慮者のうち、災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者

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