平成29年版 消防白書

[雪害対策]

1.雪害の現況と最近の動向

平成28年11月から平成29年3月までの雪害による人的被害は、死者65人(前年27人)、重傷者337人(同233人)及び軽傷者499人(同398人)並びに住家被害は、全壊1棟(同0棟)、半壊1棟(同3棟)及び一部破損257棟(同36棟)となっている。
平成28年11月から平成29年3月までの、主な雪による被害状況等については以下のとおり。

(1)1月11日からの大雪等による被害状況等について

1月中旬以降は、断続的に冬型の気圧配置が強まり、全国的に強い寒気が流れ込んだため、東北地方から西日本の日本海側を中心に大雪となった。また、普段雪の少ない太平洋側の平野部においても、大雪となったところがあった。
この大雪等による人的被害は、死者6人(山形県1人、新潟県1人、富山県1人、長野県2人及び京都府1人)、重傷者39人及び軽傷者80人並びに住家被害は、一部破損4棟であった。
消防庁では、1月13日13時38分に、各都道府県及び各指定都市に対して「警戒情報 今週末にかけて持続する寒波について」を発出し、警戒を呼び掛けた。また、16時45分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置し(第1次応急体制)、情報収集体制の強化を図った。

(2)1月23日からの大雪等による被害状況等について

1月22日から24日にかけて、日本付近は強い冬型の気圧配置になり、特に23日から24日は上空に強い寒気が流れ込んだ。この影響で、22日から24日にかけての累積降雪量が100センチを超えるなどの大雪となった。
この大雪等による人的被害は、死者4人(青森県1人、福島県1人、鳥取県1人及び岡山県1人)、重傷者18人及び軽傷者21人並びに住家被害は、一部破損3棟であった。また、鳥取県内の国道等4箇所において、長時間にわたる車両の立ち往生が発生した。
消防庁では、1月23日13時44分に、各都道府県及び各指定都市に対して「警戒情報 明日24日にかけての日本海側を中心とする大雪について」を発出し、警戒を呼び掛けた。

(3)2月9日からの大雪等による被害状況等について

2月9日から12日にかけて、西日本を中心に上空に強い寒気が流れ込み、日本付近は強い冬型の気圧配置が続いたため、9日からの累積降雪量が100センチを超えるところがあり、中国地方、近畿地方の日本海側を中心に大雪となった。
この大雪等による人的被害は、死者5人(新潟県1人、長野県1人、京都府1人、兵庫県1人及び鳥取県1人)、重傷者19人及び軽傷者42人並びに住家被害は、一部破損16棟及び床下浸水6棟であった。
消防庁では、2月8日15時52分に、各都道府県及び各指定都市に対して「警戒情報 明日9日から12日頃にかけての冬型の気圧配置による荒れた天気について」を発出し、警戒を呼び掛けた。また、2月9日16時31分に応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置し(第1次応急体制)、情報収集体制の強化を図った。

(4)栃木県那須町での雪崩による被害状況等について

3月27日8時30分頃、那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生した。スキー場の営業期間は既に終了していたが、登山訓練中であった栃木県内の高等学校の山岳部生徒及び引率教員が雪崩に巻き込まれた。
この雪崩による人的被害は、死者8人、重傷者2人及び軽傷者38人であった。
当時の気象状況は、低気圧が関東の南海上を発達しながら北東へ進み、さらに上空に寒気が流れ込んだため、栃木県の山地では大雪となり、栃木県那須高原では、27日1時から10時までの降雪量が34cmに達した。
消防庁では、3月27日10時00分に、応急対策室長を長とする消防庁災害対策室を設置し(第1次応急体制)、情報収集体制の強化を図った。
また、12時25分には、栃木県知事から消防庁長官に対して、緊急消防援助隊の応援要請(ドローンを利用した情報収集活動)があったことを受け、同時分、国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部への改組を行った(第2次応急体制)。

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