平成29年版 消防白書

4.派遣実績

国際消防救助隊の海外災害派遣は、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」施行前の2回を含めこれまでに20回の実績がある(第5-2表)。このうち、直近3回の派遣概要は次のとおりである。

第5-2表 国際消防救助隊の派遣状況

(平成29年11月1日現在)

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第5-2表 国際消防救助隊の派遣状況

※1及び2については、「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」制定前であり、JICAの短期専門家として派遣されている。

平成23年2月に発生したニュージーランド南島地震災害においては、ニュージーランド政府からの援助要請に先駆け、緊急調査チーム3人(外務省、東京消防庁及びJICA)を派遣した。その後、同政府からの援助要請を受け第1陣から第3陣まで合計128人の国際緊急援助隊救助チーム(緊急調査チーム含む。うち国際消防救助隊員33人)を派遣した。第1陣と第2陣は、クライストチャーチ市にあるCTVビル倒壊現場において捜索救助活動を行い、第3陣は、同市内8か所の損壊建物において捜索救助活動を行った。

CTVビルでの捜索救助活動ニュージーランド南島地震災害(平成23年2月派遣)
CTVビルでの捜索救助活動
ニュージーランド南島地震災害(平成23年2月派遣)

平成27年4月に発生したネパール地震災害においては、国際緊急援助隊救助チーム70人(うち国際消防救助隊員17人)が派遣された。大地震の影響により現地空港が混乱していたため、救助チームが搭乗した航空機は当初の予定どおり到着できず、予定より1日遅れでの被災地入りとなったが、現地の日本大使館及びJICA事務所を通じて、事前に情報収集を行っていたため、これまでの派遣と比較し、到着後、最も迅速な救助活動の開始となった。救助チームは、旧王宮周辺、サクー、ゴンガブ地区等で捜索救助活動を行い、派遣期間は2週間に及んだ。これは、追加派遣を行わないものとしては、過去最長の派遣期間である。

ゴンガブ地区での1階、2階が座屈したホテルにおける高度救助資機材を使用した捜索救助活動
ネパール地震災害(平成27年4月派遣)
ゴンガブ地区での1階、2階が座屈したホテルにおける高度救助資機材を使用した捜索救助活動
ネパール地震災害(平成27年4月派遣)

平成29年9月に発生したメキシコ地震災害においては、国際緊急援助隊救助チーム72人(うち国際消防救助隊員17人)が派遣された。本震災の発生を受けて、メキシコ政府は国際社会に対し、一般的な支援要請は行わなかったが、日本の災害救援における経験や知見への期待により、日本に対しては捜索救助チームの派遣を要請した。アジア圏でメキシコ政府より要請を受けて捜索救助チームを派遣したのは、日本のみであり、このような大きな期待を受け、救助チームは、メキシコシティの3か所(ブレターニャ、オブレゴン、トラルパン)の建物崩壊現場において捜索救助活動を実施し、現地でも大変好意的に受け止められた。

トラルパンでの捜索救助活動メキシコ地震災害(平成29年9月派遣)(JICA提供)
トラルパンでの捜索救助活動
メキシコ地震災害(平成29年9月派遣)
(JICA提供)

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