平成29年版 消防白書

2.開発途上諸国からの研修員受入れ等

(1)課題別研修の実施

消防庁では、JICAと連携し、開発途上諸国の消防防災機関職員を対象に「救急救助技術」研修及び「消防・防災」研修(平成25年度までは「消火技術」研修として実施)の2コースの課題別研修を、消防本部の協力の下で実施している。
現在、「救急救助技術」研修は大阪市消防局、「消防・防災」研修は北九州市消防局において技術指導を実施しており、これまでに、それぞれ275人、265人の研修員が教育訓練を受けている。
各コースの研修員は、研修を通じて身に付けた我が国の消防防災に関する知識や技術を自国の消防防災能力の向上のために大いに活用している。

(2)国別研修の実施

消防庁では、課題別研修のほか開発途上国の個別の要請に基づき実施する国別研修をJICAと連携し実施している。
平成26年度からはマレーシアに対して、「消防行政能力向上」プロジェクトを実施しており、平成29年度は、消防庁、市原市消防局、東京消防庁、川崎市消防局及び四日市市消防本部において産業火災への対応要領や都市型捜索救助技術についての研修を行った。
なお、前述の国際消防防災フォーラムには、本プロジェクトの研修員も参加し、我が国の消防制度等に関する知見を新たにしている。

(3)各国への情報提供等

消防庁では、このような研修のほかにも各国大使館、JICA、外務省等の協力依頼に基づき、諸外国からの消防防災、危機管理分野等の関係者の訪問を受け入れ、それぞれの要望に応じた情報提供、関連施設の視察等を実施している。
なお、平成29年は、アメリカ合衆国空軍大尉、チリ共和国陸軍長官等に対して、日本の消防制度等について説明を行った。

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