特集2 糸魚川市大規模火災を踏まえた今後の消防のあり方
1.糸魚川市大規模火災
(1)火災の概要
平成28年12月22日10時20分頃に新潟県糸魚川市のラーメン店において、大型こんろの消し忘れにより出火した。焼損棟数は147棟(全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟)、焼損床面積は30,213.45m²にも及び、昭和51年の酒田市における大火以来40年ぶりの市街地における大規模火災(地震を原因とするものを除く。)となった。17人が負傷(一般人2人(軽症2人)、消防団員15人(中等症1人、軽症14人))したが、死者は発生していない。
(2)被災地域の特性
本火災の火元建築物の立地していた区画は、昭和初期に建てられた防火構造に該当しない木造(いわゆる裸木造)の建築物が密集しており、比較的火災に対する性能が低い区画であった。一方で、焼損したエリア全体を見ると、木造の建築物が約9割を占めているものの、消防車両が進入可能な道路が整備され、近年建てられた比較的新しい建築物も混在しており、このような地域は糸魚川市に限られたものではない。
(3)気象状況
出火当日は、新潟地方気象台が強風注意報を発表するなど、常日頃と比較して注意が必要な気象条件であった。しかし、全国的にみて、糸魚川市は特別に強風の日が多い地域というわけではない。
(4)飛び火による延焼・同時多発火災
本火災では、強風により、火元及び延焼先から大量の火の粉や燃えさしが広く飛散し、風下側の木造建築物への飛び火によって、同時多発的に延焼拡大した。これにより、多くの部隊の転戦が必要となるとともに、指揮本部自体も数度移設が必要となるなど、消火活動は困難を極めた。
(5)糸魚川市消防本部の対応
糸魚川市消防本部は、消防団と連携し、ほぼ全ての消防力を投入して長時間にわたり懸命に活動した。県内外の19消防本部から、消防車両38台及び消防職員175人の応援を受けた(消防車両数及び消防職員数は出火当日の値。特集2-1図)ほか、関係機関、民間事業者等からコンクリートミキサー車、排水ポンプ車等の支援も受けながら消火活動を行い、強風下での木造の建築物が密集した地域における火災に対し、東側と西側への延焼拡大を阻止しながら、約40,000m²に及ぶエリアを、出火から約11時間後には鎮圧し、約30時間後には鎮火することができた。
特集2-1図 応援の状況
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※ 車両台数及び消防職員数は出火当日の値
特集2-2図 被災状況写真(糸魚川市消防本部提供)
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