特集7 消防本部におけるハラスメント等への対応策
1.消防本部におけるハラスメント等の現状
職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に行われる暴力行為などのハラスメントは相手の尊厳や人格を侵害する行為であり、決してあってはならない。また、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント(以下「マタニティハラスメント」という。)については、断じて許されない行為であるばかりでなく、防止措置を講じることが法的に義務付けられているものである。
しかしながら、近年報道でも見られるように、消防本部におけるハラスメントは後を絶たない。
ハラスメントや不祥事は、国民・住民の信頼を著しく損ねるものであるだけでなく、消防職員の士気の低下や職場環境の悪化により、行政サービスとしての消防力の低下にもつながりかねない。
そこで、消防庁では、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどのハラスメントやその他不祥事等(以下「ハラスメント等」という。)について、実態を調査し、各消防本部において講じる対策のあり方について検討するため、平成29年2月6日の第1回から同年5月22日の第4回まで「消防本部におけるハラスメント等への対応策に関するワーキンググループ」を開催した結果、同年7月4日に検討結果となる対応策が取りまとめられた。
また、本ワーキンググループの検討結果を踏まえ、「消防本部におけるハラスメント等への対応策に関するワーキンググループの検討結果について(通知)」(平成29年7月4日付け消防消第171号消防庁次長通知。以下「次長通知」という。)を発出した。
以下では、次長通知に基づき、各消防本部において実施すべき対応策、消防庁における対応策等について記載する。