平成30年版 消防白書

第5節 救助体制

1.救助活動の実施状況

(1)救助活動件数及び救助人員の状況

消防機関が行う人命の救助とは、火災、交通事故、水難事故、自然災害、機械による事故等から、人力や機械力等を用いてその危険状態を排除し、被災者等を安全な場所に搬送する活動をいう。
平成29年中における全国の救助活動の実施状況は、救助活動件数5万6,315件(対前年比833件減、1.5%減)、救助人員(救助活動により救助された人員をいう。)5万7,664人(同291人減、0.5%減)である(第2-5-1表、附属資料2-5-1)。

第2-5-1表 救助活動件数及び救助人員の推移

第2-5-1表 救助活動件数及び救助人員の推移

(備考)
1 「救助年報報告」により作成
2 消防本部・署を設置しない市町村の消防団の活動件数等も含めている。本節の以下のデータにおいても同じ。

この減少の主な要因は、「建物等による事故」における救助活動件数(対前年比780件減、3.3%減)及び救助人員(対前年比608人減、2.8%減)が減少したことである。

(2)事故種別ごとの救助活動の状況

事故種別ごとの救助活動状況をみると、救助活動件数及び救助人員ともに「建物等による事故」と「交通事故」において高い数値のまま推移している。
なお、「建物等による事故」については、救助活動件数において、平成20年以降最多の事故種別となっており、救助人員においても、平成25年以降最多の事故種別となっている。
救助出動人員(救助活動を行うために出動した全ての人員をいう。)は、延べ140万2,360人である。このうち、消防職員の出動人員は延べ132万6,912人であり、「建物等による事故」による出動が29.1%、「交通事故」による出動が26.5%となっている。一方、消防団員の出動人員は、延べ7万5,448人であり、「火災」による出動が71.4%となっている。
次に、救助活動人員(救助出動人員のうち実際に救助活動を行った人員をいう。)は、延べ57万1,691人であり、救助活動1件当たり10.2人が従事したこととなる。また、事故種別ごとの救助活動1件当たりの従事人員は、緊急消防援助隊の出動状況により年によって大きく増減する「風水害等自然災害事故」を除くと、「火災」の16.5人が最も多く、次いで「水難事故」の14.8人となっている(第2-5-1図、第2-5-2図、第2-5-2表)

第2-5-1図 事故種別救助活動件数の状況

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第2-5-1図 事故種別救助活動件数の状況の図

(備考)「救助年報報告」により作成

第2-5-2図 事故種別救助人員の状況

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第2-5-2図 事故種別救助人員の状況の図

(備考)「救助年報報告」により作成

第2-5-2表 事故種別救助出動及び活動の状況

(平成29年中)

第2-5-2表 事故種別救助出動及び活動の状況

(備考)
1 「救助業務実施状況調」により作成
2 (  )内は構成比(%)。単位未満四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。
3 「救助出動人員」とは、救助活動を行うために出動したすべての人員をいう。
4 「救助活動人員」とは、救助出動人員のうち実際に救助活動を行った人員をいう。
5 「建物等による事故」とは、建物、門、柵、へい等建物に付帯する施設又はこれらに類す
る工作物の倒壊による事故、建物等内に閉じ込められる事故、建物等に挟まれる事故等をいう。
6 「その他」とは、上記事故種別以外の事故で、消防機関による救助を必要としたものをいう。

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