平成30年版 消防白書

5.救急業務を取り巻く課題

(1)救急車の適正利用の推進

平成29年中の救急自動車による救急出動件数は、過去最高の634万2,147件に達し、増加傾向が続いている。平成28年度に行った将来推計(第2-4-10図)によると、高齢化の進展等により救急需要は今後とも増大する可能性が高いことが示されており、救急活動時間の延伸を防ぐとともに、これに伴う救命率の低下を防ぐための対策が必要である。

第2-4-10図 救急出動件数・救急搬送人員の推移とその将来推移(2000年~2030年)

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第2-4-10図 救急出動件数・救急搬送人員の推移とその将来推移(2000年~2030年)

救急自動車による出動件数は、10年前と比較して約19.9%増加しているが、救急隊数は約6.1%の増加にとどまっており、消防庁では、地域の限られた救急車が緊急性の高い症状の傷病者にできるだけ早く到着できるようにするため、電話相談窓口「救急安心センター事業(♯7119)」の全国展開を推進しているところであり、また、住民による緊急度判定を支援する全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」を作成し、平成29年5月から提供している。
「Q助」は、病気やけがの際に、住民自らが行う緊急度判定を支援し、利用できる医療機関や受診手段の情報を提供するWeb版・スマートフォン版アプリであり、画面上に表示される選択肢から、傷病者に該当する症状を選択していくことで、緊急度に応じた対応が、緊急性をイメージした色とともに表示される仕組みとなっている(第2-4-11図)。スマートフォン版は、最も緊急度の高い赤の場合には、そのまま119番通報ができる。また、自力で受診する場合には、医療機関の検索(厚生労働省の「医療情報ネット」にリンク)、受診手段の検索(一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の「全国タクシーガイド」にリンク)が行えるようになっている(第2-4-12図)
(参考URL:https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate003.html)。

第2-4-11図 Q助画面

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第2-4-11図 Q助画面

第2-4-12図 Q助からのリンク(医療機関ネット及び全国タクシーガイド)

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第2-4-12図 Q助からのリンク(医療機関ネット及び全国タクシーガイド)

また、全体の救急出動件数に与える影響が大きい転院搬送については、平成28年3月に、「転院搬送における救急車の適正利用の推進について」(平成28年3月31日付け消防救第34号及び医政発0331第48号)を発出し、ガイドラインの策定が進められているところであるが、作業が進んでいない都道府県が散見されることから引き続きフォローアップを行っていく必要がある。
消防庁では、搬送困難事例(精神疾患関係)に対する効果的な関係機関との連携の取組として平成28年12月に「精神科救急における消防機関と関係他機関の連携について」(平成28年12月26日付け消防救第189号消防庁救急企画室長通知)を発出し精神科救急医療体制の更なる整備を促した。また、高齢者福祉施設等との連携についての全国の先進的な取組を収集し紹介した。
さらに、適正利用には国民全体への「緊急度判定体系」の普及が欠かせないことから、消防庁ホームページに「救急お役立ちポータルサイト」を作成し、適正利用に係るツールや救急事故防止に役立つ様々な情報を提供している。

(2)救急安心センター事業(♯7119)の推進

ア 救急安心センター事業(♯7119)の概要

救急安心センター事業(♯7119)(以下「♯7119」という。)は、地域の限られた救急車を有効に活用し、緊急性の高い症状の傷病者にできるだけ早く救急車が到着できようにすることに加え、住民が適切なタイミングで医療機関を受診できるよう支援するため、消防と医療が連携し、救急医療相談と医療機関案内を、共通の短縮ダイヤル(♯7119)で行う電話相談窓口である。
♯7119に寄せられた相談は、医師・看護師・相談員が対応し、病気やけがの症状を把握して、傷病の緊急性や救急車要請の要否の助言、受診手段の案内、医療機関案内等を行っている。
平成30年10月1日現在、全国13地域(北海道札幌市周辺、宮城県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県横浜市、新潟県、大阪府内全市町村、奈良県、兵庫県神戸市、鳥取県、和歌山県田辺市周辺、福岡県)で事業が実施(人口カバー率40.6%)されている。また、平成30年度中に広島市周辺地域で事業が開始される予定となっている(第2-4-14図)。

第2-4-14図 救急安心センター事業(♯7119)の普及状況と人口カバー率

平成30年10月1日現在

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第2-4-14図 救急安心センター事業(♯7119)の普及状況と人口カバー率

イ 事業の効果

♯7119実施団体からの報告によると、消防面においては、<1>潜在的な重症者の発見及び救護、<2>軽症者の搬送割合の減少、<3>不急の救急出動の抑制といった効果があげられており、医療面においては、医療機関の負担軽減などの救急医療体制の円滑化といった効果があげられている。
また、平成29年度に内閣府が実施した「救急に関する世論調査」では、「119番通報が減り、重症な方を早く搬送できる。」、「救急のときに専門家の判断を聞くことができる。」、「いざというときの不安が減り、安心して生活ができる。」等の理由から、7割以上の方から♯7119を推進していくべきとの回答が得られた(第2-4-13図)。

第2-4-13図 救急安心センター事業(♯7119)推進への考え方

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第2-4-13図 救急安心センター事業(♯7119)推進への考え方

(備考)
1 平成29年度「救急に関する世論調査」(内閣府)より
2 小数点第二位を四捨五入のため、合計等が一致しない場合がある。

ウ 全国的な今後の取組

消防庁では、「救急安心センター事業(♯7119)の更なる取組の推進について(通知)」(平成28年3月31日付け消防救第32号消防庁救急企画室長通知)により、都道府県が、管内消防本部の意向を踏まえつつ、衛生主管部局及び医療関係者等との合意形成を図るなど、♯7119の導入に向け積極的に取り組むことを促している。
平成28年度からは、救急ニーズの高い都道府県及び政令市を中心に、消防庁職員を全国に派遣し、個別訪問による導入の促進を実施している。平成29年5月には、「救急安心センター事業(♯7119)普及促進アドバイザー制度」を創設し、実際に運営に携わっている自治体職員、医師及び看護師を、消防庁職員とともに各自治体に派遣して、♯7119導入のノウハウなどの幅広いアドバイスや事業実施に向けた課題解決への助言を行う取組を開始し、平成30年10月末までに、11地域に28名のアドバイザーの派遣を行った。
限りある搬送資源を緊急性の高い事案に確実に投入するためには、救急車の適正利用を積極的に推進していくことが必要である。

(3)一般市民に対する応急手当の普及

消防庁では、平成17年1月から、救急搬送された心肺機能停止傷病者の救命率等の状況について、国際的に統一された「ウツタイン様式」に基づき調査を実施している。
平成29年中の救急搬送人員のうち、心肺機能停止傷病者は12万7,018人であり、うち心原性(心臓に原因があるもの)は7万8,302人(A)であった。
(A)のうち、心肺機能停止の時点を一般市民により目撃された傷病者は2万5,538人(B)であり、このうち1か月後生存率は13.5%、1か月後社会復帰率は8.7%となっている(第2-4-15図、第2-4-8表)。

第2-4-15図 心原性かつ一般市民による目撃のあった症例の1か月後の生存率及び社会復帰率

(各年中)

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第2-4-15図 心原性かつ一般市民による目撃のあった症例の1か月後の生存率及び社会復帰率

(備考)東日本大震災の影響により、平成22年及び平成23年の釜石大槌地区行政事務組合消防本部及び陸前高田市消防本部のデータは除いた数値により集計している。

(B)のうち、一般市民により応急手当が行われた傷病者は1万4,448人(C)であり、このうち1か月後生存率は16.6%となっており、応急手当が行われなかった場合(9.4%)と比べて約1.8倍高い。また、1か月後社会復帰率についても応急手当が行われた場合には11.9%となっており、応急手当が行われなかった場合(4.6%)と比べて約2.6倍高くなっている(第2-4-8表)。

第2-4-8表 一般市民による応急手当の実施の有無

(各年中)

第2-4-8表 一般市民による応急手当の実施の有無

(備考)東日本大震災の影響により、平成22年及び平成23年の釜石大槌地区行政事務組合及び陸前高田市消防本部のデータは除いた数値により集計している。

(C)のうち、一般市民により自動体外式除細動機(以下「AED」という。)を使用した除細動が実施された傷病者は1,260人であり、1か月後生存率は53.5%、1か月後社会復帰率は45.7%となっている(第2-4-16図)。

第2-4-16図 一般市民により除細動が実施された件数の推移

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第2-4-16図 一般市民により除細動が実施された件数の推移

(備考)東日本大震災の影響により、平成22年及び平成23年の釜石大槌地区行政事務組合消防本部及び陸前高田市消防本部のデータは除いた数値により集計している。

一般市民による応急手当が行われた場合の1か月後生存率及び1か月後社会復帰率は高くなる傾向にあり、一般市民による応急手当の実施は生存率及び社会復帰率の向上において重要であることから、一層の推進を図る必要があり、一般市民の間に応急手当の知識と技術が広く普及するよう、今後とも取り組んでいくことが重要である。
現在、特に心肺機能停止状態に陥った傷病者を救命するために必要な救命処置(心肺蘇生とAEDの使用)の技術習得を目的として、住民体験型の普及啓発活動が推進されている。特に平成16年7月には、「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用について」(平成16年7月1日付け医政発0701001号)が発出され、非医療従事者についてもAEDを使用することが可能となり、10年以上経った現在では、一般市民がAEDを使用できることは認知されている。
消防庁では、「応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱」により、心肺蘇生法等の実技指導を中心とした住民に対する応急手当講習の実施や応急手当指導員等の養成、公衆の出入りする場所・事業所に勤務する管理者・従業員を対象にした応急手当の普及啓発及び学校教育の現場における応急手当の普及啓発活動を行っている。全国の消防本部における平成29年中の応急手当講習受講者数は193万4,961人で、心肺機能停止傷病者への住民による応急手当の実施率は49.9%に上昇する(前年48.9%)など、消防機関は応急手当普及啓発の担い手としての主要な役割を果たしている。
また、平成23年度から、より専門性を高めつつ受講機会の拡大等を図るため、主に小児・乳児・新生児を対象とした普通救命講習IIIや住民に対する応急手当の導入講習(救命入門コース)、一般市民向け応急手当WEB講習(e-ラーニング)を用いた分割型の救命講習を新たに追加した(第2-4-17図)。

第2-4-17図 一般市民向け応急手当WEB講習(e-ラーニング)

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第2-4-17図 一般市民向け応急手当WEB講習(e-ラーニング)

なお、e-ラーニングは、平成29年3月からパソコン、タブレット、スマートフォン等で利用することが可能となり、好きな時間に応急手当の基礎知識を学ぶことができるなど、受講機会の拡大が図られている。
平成28年度からは、教員職にある者の応急手当普及員養成講習について、講習時間を短縮し実施することも可能としたり、他の地域で応急手当普及員講習等を修了した者の取扱いについて、取得地域以外で指導できない不利益がないように当該消防本部でも認定したものとみなしても差し支えないとしたりするなど、住民のニーズに合わせた取組も進めている。
主に、市民が行う一次救命処置については、一般財団法人日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が心肺蘇生の内容の国際標準化を目的として5年に1度見直している「救急蘇生法の指針2015(市民用)」に基づく内容となっている。
また、昭和57年に制定された「救急の日」(9月9日)及びこの日を含む一週間の「救急医療週間」を中心に、全国の消防機関では応急手当講習会や救急フェア等を開催し、一般市民に対する応急手当の普及啓発活動に努めるとともに、応急手当指導員等の養成や応急手当普及啓発用資機材の整備を推進している。

(4)感染症への対応

救急隊員は、常に各種病原体からの感染の危険性があり、また、救急隊員が感染した場合には、他の傷病者へ二次感染させるおそれがあることから、救急隊員の感染防止対策を確立することは、救急業務において極めて重要な課題である。
消防庁では、「消防学校の教育訓練の基準」において、救急隊員養成の講習項目として、参考とするものの中に救急用資器材操作法・保管管理・消毒についても定めている。また、各種感染症の取扱いについて、感染防止用マスク、手袋、感染防止衣等を着用して傷病者の処置を行う標準予防策等の徹底を消防機関等に要請している。
新型インフルエンザ対策としては、平成20年12月に「消防機関における新型インフルエンザ対策のための業務継続計画ガイドライン」を策定し、消防機関に業務継続計画の策定を促した。平成25年4月13日には、強い感染力を持つ新型インフルエンザや同様な危険性のある新感染症に関して、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(平成24年法律第31号)が施行され、同年6月7日には、同法第6条第4項の規定に基づき、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」が閣議決定された。消防庁では、新型インフルエンザ発生時に、この計画に基づき、適切に対応できるよう政府の訓練に参加している。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)において、平成26年に西アフリカを中心に流行したエボラ出血熱が一類感染症に指定されており、流行時、救急要請時に発熱等を訴えている者には、流行国への渡航歴の有無を確認する等、消防機関における基本的な対応を定めた。また、同法において、エボラ出血熱の患者(疑似症を含む。)の移送については、都道府県知事(保健所設置市の場合は市長、特別区の場合は区長)が行う業務とされているが、保健所等の移送体制が十分に整っていない地域もあることから、消防庁は厚生労働省と協議を行った上で、保健所等が行う移送に対する消防機関の協力のあり方について、平成26年11月28日に通知した。

(5)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への救急対応

近年の訪日外国人の増加に伴い、救急業務における、多言語対応がより一層必要となっている。特に、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることから、訪日外国人が更に増加することが予想されている。このことから、救急車の利用方法や熱中症の予防・対処法などの外国人への情報発信をはじめ、実際の救急現場での、外国人に対する円滑なコミュニケーションが求められている。
これを受けて、主要な言語について24時間365日対応できるように電話通訳センターを介した同時通訳による多言語対応を救急現場で活用しているほか、多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」の開発と消防本部への提供、訪日外国人のための「救急車利用ガイド」の作成を行っており、全国での活用を促進している。

ア 救急ボイストラ

救急ボイストラは、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。)が開発した多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra®(ボイストラ)」をベースに、消防庁消防研究センターとNICTが、救急隊用に開発した多言語音声翻訳アプリである。
救急ボイストラは、通常の音声翻訳機能に加えて、救急現場で使用頻度が高い会話内容を「定型文」として登録しており、外国語による音声と画面の文字による円滑なコミュニケーションを図ることが可能である。
また、話した言葉を文字として表示する機能等があるため、聴覚障害者などとのコミュニケーションにも活用できる(第2-4-18図)。

第2-4-18図 救急ボイストラ画面

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第2-4-18図 救急ボイストラ画面

対応言語は、英語、中国語(繁・簡)、韓国語、タイ語、フランス語、スペイン語、インドネシア語、ベトナム語、ミャンマー語、ロシア語、マレー語、ドイツ語、ネパール語、ブラジルポルトガル語の15種類となっている。
平成29年4月から各消防本部への提供を開始し、平成30年11月現在、全国728消防本部のうち340消防本部が使用を開始している(約46.7%)。

イ 救急車利用ガイドの多言語化

消防庁は、平成28年3月、日本での救急車の利用方法等を訪日外国人に周知するため、訪日外国人のための「救急車利用ガイド(英語版)」を作成し、消防庁ホームページに掲載した(第2-4-19図)。

第2-4-19図 救急車利用ガイド(英語版)

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第2-4-19図 救急車利用ガイド(英語版)

救急車利用ガイドには、<1>救急車の利用方法、119番通報時に通信指令員に伝えるべきこと、<2>すぐに119番通報すべき重大な病気やけが、<3>熱中症予防や応急手当のポイント、<4>救急車を利用する際のポイントなどが掲載されている。
平成29年3月からは、英語に加えて中国語(繁・簡)、韓国語、タイ語、フランス語、イタリア語に対応した。それぞれのガイドに日本語を併記しているため、日本人から外国人に説明を行う際にも活用が可能である。
消防庁では、都道府県及び消防本部に対し、各種広報媒体でのリンク掲載等によって住民や観光客に積極的に周知するよう依頼しているところであり、今後とも、広く周知を図っていく。

(6)救急隊の編成をより柔軟に行うための政令改正

近年の人口減少や厳しい財政状況などにより、過疎地域や離島においては、救急隊が配置できない地域や時間帯が生じるなど、救急業務の空白が生じつつある。
消防庁では平成28年12月に消防法施行令の一部を改正する政令(平成28年政令第379号)を公布し、平成29年4月1日から過疎地域及び離島において、市町村が適切な救急業務の実施を図るための措置として、総務省令で定める事項を記載した計画(実施計画)を定めたときには、救急隊員2人と准救急隊員1人による救急隊の編成を可能とした。
准救急隊員は、救急業務に関する基礎的な講習の課程(92時間)を修了した常勤の消防職員等とされており、例えば、常勤の消防職員と併任され上記課程を修了した役場職員等を想定している。また、同課程の講習を受けた者以外に、上記課程修了と同等以上の学識経験を有する者についても准救急隊員とすることができることとしており、医師、保健師、看護師、准看護師、救急救命士及び救急科(250時間)を修了した者としている(第2-4-20図)。

第2-4-20図 政令改正の概要

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第2-4-20図 政令改正の概要

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