平成30年版 消防白書

3.防災訓練の実施

大規模災害時に迅速に初動体制を確立し、的確な応急対策をとることは、被害を最小限にするために重要であり、そのためには日ごろから実践的な対応力を身に付けておく必要がある。中央防災会議で決定された総合防災訓練大綱では、国や地方公共団体、住民等の多くの主体が連携した訓練を実施し、実践的かつ効果的な訓練となるよう努めることとされている。
消防庁では、主に市町村自らが風水害を想定した実践的で効果的な図上型防災訓練を実施する場合の「支援マニュアル」(平成22年度)や、全国で実施される防災訓練の底上げを図ることを目的として作成した「実践的な防災訓練の普及に向けた事例調査報告書」(平成25年度)により、防災訓練の企画・実施を支援してきた。
さらに、平成26年度には、平成26年3月に実施した都道府県における図上訓練の実施状況アンケート調査をもとに、都道府県において効果的に図上訓練を実施する上でのポイントを「訓練企画」、「災害想定」、「訓練形態」、「知事の訓練参加」、「危機管理・防災担当部局以外の職員の訓練参加」、「関係機関の訓練参加」、「評価・検証結果のマニュアル等への反映」の別に取りまとめ、先進的な自治体の取組事例とともに紹介している。
平成29年度においては、都道府県主催で延べ856回の防災訓練が実施されたほか、市町村においても延べ8,814回の防災訓練が実施された。訓練に際しての災害想定は、都道府県、市町村ともに地震・津波に対応するものが多く、訓練形態は実動訓練が最も多い(第2-8-1表)。

第2-8-1表 都道府県・市町村における防災訓練の実施状況

(平成29年度)

第2-8-1表 都道府県・市町村における防災訓練の実施状況

関連リンク

平成30年版 消防白書(PDF版)
平成30年版 消防白書(PDF版) 平成30年版 消防白書 (一式)  平成30年版 消防白書 (概要版)  はじめに  特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応  特集2 最近の地震の被害と対応  特集3 消防防災ヘリコプターの安全運航体制の強化&n...
はじめに
はじめに この1年は、西日本を中心に多くの河川の氾濫や土砂崩れ等を引き起こした平成30年7月豪雨、震度6弱を観測した大阪府北部を震源とする地震、平成28年4月の熊本地震以来の震度7を観測した平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震など、風水害や地震等の自然災害が各地において発生し、多くの人的・物的被害...
特集
特集 人口減少や高齢化に代表される社会の構造の変化、風水害の多発化・激甚化や災害の多様化等、消防を取り巻く状況は常に変化しています。これらに適切に対応していくとともに、今後発生が予測されている南海トラフ地震や首都直下地震をはじめとする地震災害等に備える必要があります。 平成30年においては、大阪府北...
1.災害の概要
特集1 平成30年7月豪雨の被害と対応 1.災害の概要 (1)気象の状況 平成30年6月28日以降、北日本に停滞していた前線は、7月4日にかけ北海道付近に北上した後、5日には西日本まで南下してその後停滞した。 また、6月29日に発生した台風第7号は、東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた...