平成30年版 消防白書

2.東南アジア諸国で日本の消防用機器等が置かれている状況と競争力の強化

日本で製造・販売される消防用機器等は、消防庁が策定する規格・基準に基づくとともに、第三者機関による厳格な検定等の認証を得ることにより、その確実な作動が担保され、ニーズを反映した細かな設計、長期間の使用が可能といった優れた品質が保たれている。
一方、急激な経済成長のなかで都市化が進み、目覚ましい発展を遂げている東南アジア諸国をはじめとする新興国では、消防用機器等の基準、設置に関係する法律の整備が追いついていない状況が散見される。そのような中で、一部の国では、欧米規格の全部又は一部を採用する傾向が見られる。
新興国の中にも日本の消防用機器等の品質を高く評価する国や企業もあり、とりわけ欧米諸国に比べて気候条件が似ている東南アジア諸国において広く活用されることが期待されるが、近年では、導入コストの低い中国製や韓国製の消防用機器等の台頭もあり、高い品質を誇る日本の消防用機器等の東南アジア諸国における海外展開に不利な状況が続いている。
このような状況を踏まえると、経済発展を遂げている東南アジアをはじめとする新興国に対して日本の消防用機器等を普及させ、新興国の火災予防対策を推進していくためには、日本の規格に適合する消防用機器等の競争力を強化することが必要である。
そのためには、東南アジア諸国の消防・防災関係者に対して、日本製品の品質・信頼性の高さについて理解を促すとともに、日本の規格と認証制度を一体で導入することにより火災件数や火災による死者の大幅な削減につながることを理解してもらうよう働き掛けることで、日本の規格・認証制度の浸透を図ることが必要である。その結果として、日本市場向けの消防用機器等をそのまま輸出することによりコストを抑制する効果が得られ、更なる普及への波及効果を得ることができる。
以下に、これまでの消防庁の取組と今後の展開について記載する。

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