3.海外展開への取組
(1)日本の消防用機器等の品質、規格・認証制度の発信
ア 日本の消防用機器等に係る日本の消防制度や規格の英訳の公開
「海外で消防用機器等を販売する際に、日本の消防制度や規格の英訳があると交渉しやすい」という民間事業者からの要望を踏まえ、消防庁では、消防法や消防用機器等の認証等、制度に係る事項のほか、消火器、閉鎖型スプリンクラーヘッド、自動火災報知設備の感知器及び発信機などの検定対象機械器具等や動力消防ポンプや消防用ホースなどの自主表示対象品を含む計16品目の規格、基準の英訳を、消防庁のホームページ上で公開している(特集9-1図)(http://www.fdma.go.jp/en/index.html)。
特集9-1図 消防制度・規格の消防庁HP掲載について
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イ 日本の消防用機器等の紹介リーフレットの作成
国際会議や消防防災展などのイベント、政府間協議等の場で配布し、日本の消防用機器等の優位性をPRできるよう、分野ごとにとりまとめたリーフレットを業界団体等と共同で作成するとともに、機器ごとの特徴を更に詳細に示した資料を作成し、その活用を図っている(特集9-2図)。
特集9-2図 「Japanese Fire Equipment(日本の消防機器)」リーフレット(平成30年作成)
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例えば、平成30年5月に開催された「アジア消防長協会(IFCAA)東京会議」において会議資料として配付するとともに、「東京国際消防防災展2018」では、出展企業や関係団体の協力を得て、海外からの来場者を中心に配布した。
(2)国内の連携体制・日本企業へのサポート
ア 「消防用機器等の海外展開の推進に向けた懇談会」の開催
平成28年度から、関係工業会・関係団体等と「消防用機器等の海外展開の推進に向けた懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催し、意見交換を行っている。平成28年度及び29年度はそれぞれ5回、平成30年度は3回開催し(10月末時点)、海外展開に係る情報共有、支援策等について議論を行った。
イ 日本貿易振興機構(JETRO)と連携したセミナーの開催
海外展開に関心を持つ国内企業に対して、東南アジア諸国の経済概況や日本企業の海外展開の実例などの情報を提供するとともに、海外展開に際して支援を必要としている企業に対して、JETROが実施している海外展開支援サービス等の具体的な支援事業の紹介を行っている。特に平成30年5月に開催された「東京国際消防防災展2018」に向けて、平成30年3月20日にJETROの協力を得て「消防用機器等海外展開セミナー」を開催し、消防庁の取組、ベトナムやマレーシアにおける消防用機器等を巡る現状報告、ベトナムを中心としたASEANの一般経済概況、展示会等を活用したマーケティング戦略、海外展開支援サービスの実例紹介等を行ったところ、100人を超える参加者があった。

ウ 個別の消防用機器等が日本規格に適合する旨の英訳の証明書の発出
日本の消防用機器等を輸出する際に日本規格に適合する旨の英訳の証明書を要求されるケースがあるという意見を踏まえ、日本企業の要望に応じて、個々の消防用機器等の日本規格への適合性について、消防庁又は日本消防検定協会から英訳の証明書を発出している(特集9-3図)。
特集9-3図 消防用機器等が日本規格に適合する旨の証明書
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(3)国際消防防災フォーラム*の活用
消防庁では、諸外国の消防防災能力の向上を目的に、主にアジア圏内において国際消防防災フォーラムを開催している。直近では、平成29年度にマレーシア、平成30年度にフィリピンで開催した。本フォーラムには、開催地の消防・防災関係者が多数集うことから、消防防災インフラシステムの海外展開を推進する場としても活用すべく、我が国の消防・防災機器関連企業が製品PRのためのプレゼンテーションや展示を行う場を提供している。また、開催地の消防・防災関係者やJETRO等と構築したネットワークを生かし現地代理店候補となりえる企業も招待し、我が国企業のビジネスチャンス拡大を後押ししている。
* 第5章国際協力・国際交流を参照
(4)個別の国に対する日本の消防用機器等の品質、規格・認証制度の浸透への取組
上記の包括的な取組に加え、政府レベルにおいて、個別の国の消防・防災関係者に対し、日本の消防用機器等の品質、規格・認証制度を紹介し、日本規格の浸透に向けて取り組み始めている。
特に、日本の消防用機器等に関する規格・認証制度に高い関心を示しているベトナムとは、平成30年10月8日に「日本国総務省とベトナム社会主義共和国公安省との消防分野における協力覚書」を締結し、ベトナム国内において、日本規格に適合する消防用機器等の販売・設置等が認められるよう交渉を進め、日本企業が参入しやすい環境を整備することとしている。今後も引き続き、東南アジア諸国を中心に働き掛けていくことで、日本の規格に適合する消防用機器等の海外展開を推進していくこととしている。