平成30年版 消防白書

特集10 熱中症への対応

1.熱中症とは

熱中症とは、温度や湿度が高い中で、体内の水分や塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れる、体内の体温調節機能が破綻するなどして発症する障害の総称であり、めまい、体のだるさ、ひどい場合にはけいれんや意識の異常など、様々な症状が見られ、死に至るおそれのある病態である。
熱中症は、からだ(体調、年齢等)、環境(気温、湿度等)、行動(活動強度、持続時間、休憩等)の3つの要素が影響して引き起こされ、熱中症予防においては、年齢、持病等の個人のリスクに応じて、気象条件を踏まえながら適切な予防行動をとることが重要である。具体的には、こまめな水分補給、エアコン・扇風機等を用いた室温調整、適切な休息を取ることなどが挙げられる。特に高齢者や子どもは熱中症になりやすいとされることから、関係者と一体となった予防啓発活動が重要である。
熱中症を疑った時には、涼しい場所で体を冷し、水分補給をしながら様子を見ることなどが重要であるとされるが、重症例を見逃さないという観点から、意識がない、全身のけいれんがある、自分で水が飲めない又は脱力感や倦怠感が強くて動けない場合には、ためらわず救急要請をする必要がある。

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