令和元年版 消防白書

4.最近の災害を踏まえた今後の対応

(1)政府の主な動き

政府は、台風第15号・19号等における応急対策の経験を集約・整理し、今後の災害対応に活かしていくため、内閣官房副長官(事務)を座長とする「令和元年台風第15号・19号をはじめとした一連の災害に係る検証チーム」を立ち上げた。この検証チームの下に、個別論点の検証を行うため、内閣府政策統括官(防災担当)を座長とする実務者検討会を設置し、<1>長期停電及びその復旧プロセス・鉄塔等送電網に係る検証、<2>通信障害に関する関係者間の情報共有・復旧プロセスに係る検証、<3>国・地方自治体の初動対応等の検証、災害対応に不慣れな県・市町村への支援・平時の備えのあり方、<4>その他(倒木対策、公共交通機関、避難所対策、研修等)について検証することとした。
また、東北や関東甲信越地方を中心に広域かつ甚大な被害をもたらした台風第19号等を教訓とし、激甚化・頻発化する豪雨災害に対し、避難対策の強化を検討するため、中央防災会議防災対策実行会議の下に「令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ」(以下「避難WG」という。)が設置された。12月18日には避難WGの第1回会議が開催され、<1>災害リスクととるべき行動の理解促進、<2>高齢者等の避難の実効性の確保、<3>わかりやすい防災情報の提供(避難勧告・避難指示(緊急)のあり方)等を主要な論点として議論していくとの方針が示された。

(2)消防庁の対応

消防庁においては、実務者検討会及び避難WGにおける今後の議論の状況も踏まえ、内閣府等の関係省庁とも連携し、<1>警戒レベルを用いた防災情報により、災害発生のおそれの高まりに応じて、居住者等にとるべき行動を伝えるなど、住民の避難行動を促すための地方公共団体からの適切な情報発信のあり方、<2>防災行政無線の戸別受信機をはじめとする地方公共団体が情報を確実に住民に伝えるための災害情報伝達手段の整備、<3>住民の自発的な避難を促進するための地方公共団体における防災訓練の充実などについて検討し、取り組んでいくこととしている。

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