令和元年版 消防白書

5.ラグビーワールドカップ2019への対応

令和元年9月20日から11月2日までの間、全国12都市の試合会場において、ラグビーワールドカップ2019が開催された。ラグビーワールドカップは、オリンピック・パラリンピック競技大会やサッカーワールドカップと並んで3大国際スポーツ大会の一つとして世界中から大きな注目を集めるものであるとともに、本大会は、アジアで初のラグビーワールドカップであること、また、ラグビー(7人制)がオリンピック種目に採用されてから最初の大会であり、かつ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の前年度に開催されたことなどから、消防としても大会の円滑な運営と、選手及び国内外から多数訪れる観客の安全を確保するため、万全の準備で臨む必要があった。
政府においては、平成28年2月24日、ラグビーワールドカップ2019の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針を定め、このうち、大会の円滑な準備及び運営に関する施策として、セキュリティの万全と安全安心の確保のための対策や外国人受入促進のための対策、バリアフリー対策等が盛り込まれた。
消防庁では、大会に向けたNBC等テロ災害対応のための体制整備・強化として、大型除染システム搭載車及び化学剤遠隔検知装置の整備や国民保護事案における国と地方公共団体の共同訓練、ターニケット導入に向けた消防職員用カリキュラム等の策定を実施するほか、外国人や障害者等の方々への対応として、電話通訳センターを介した三者間同時通訳、Net119緊急通報システム、多言語音声翻訳アプリ「救急ボイストラ」の積極的な導入促進、訪日外国人のための「救急車利用ガイド」の普及及び外国人や障害者等が利用する施設における避難誘導等の多言語対応に関する取組の促進を図った。
一方、各開催地における消防・救急体制を確立するため、平成29年11月7日、消防庁次長を会長とし、会場を管轄する消防本部及び都道府県等を構成員とする「ラグビーワールドカップ2019消防対策協議会」を設置するとともに、警防・予防対策をそれぞれ専門的に検討するための警防・予防部会を設置し、大会に向けた検討体制を構築した。
試合会場は全国12会場にわたり、それぞれを管轄する消防本部により消防・救急体制を構築する必要があったが、大会組織委員会からの要請に基づく大会専用救急車の会場配備や多数の観客等が訪れる会場におけるテロ災害に対する警戒体制を構築するにあたり、管轄消防本部のみでは十分な体制を構築することが困難な消防本部においては、県内の他の消防本部との応援協定を締結し、消防特別警戒体制を確保することとされた。
これらの検討・準備を通じ、各開催地において大会開催を迎えるに際しては、試合会場及び宿泊施設等への防火安全対策として、事前立入検査や自衛消防訓練指導等を実施するほか、試合開催中は、消防警戒本部を設置し、大会組織委員会等の関係機関との連携体制を構築するとともに、NBC等テロ災害対応部隊の出場体制を強化し、万全の即応体制を確保した。消防庁においても、応援協定を締結した開催地における試合会場や開幕戦・準々決勝以上の試合会場に職員を派遣し、試合開催中における情報収集・連絡体制の強化を図った。

警戒員による巡回警戒
警戒員による巡回警戒
東京スタジアム警戒部隊
東京スタジアム警戒部隊
釜石鵜住居復興スタジアム警戒部隊
釜石鵜住居復興スタジアム警戒部隊
小笠山総合運動公園エコパスタジアム警戒部隊
小笠山総合運動公園エコパスタジアム警戒部隊
熊谷ラグビー場
熊谷ラグビー場
大分スポーツ公園総合競技場
大分スポーツ公園総合競技場
横浜国際総合競技場
横浜国際総合競技場

特集2-2図 ラグビーワールドカップ2019試合会場

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特集2-2図 ラグビーワールドカップ2019試合会場

特集2-1表 試合会場及び管轄消防本部等

特集2-1表 試合会場及び管轄消防本部等

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