2.火山災害対策の現況と課題
平成26年9月の御嶽山噴火災害で明らかになった、登山者を対象とした警戒避難体制の整備の必要性や、噴火の兆候となる火山現象の変化をいち早く捉え伝達する重要性等の課題を踏まえ、平成27年7月に改正された活動火山対策特別措置法では、同法の目的である生命及び身体の安全を図る対象として住民だけでなく登山者についても明記されたほか、警戒避難体制の整備に関し必要な協議を行う火山防災協議会の設置や、火山現象の発生・推移に関する情報の収集・伝達、予警報の発令・伝達等に関する事項を地域防災計画に定めることとされた。
また、同災害では、何らかの身を隠す施設等に避難できた登山者が、結果的に噴石から難を逃れることができた例も報告された。
地方公共団体においては、これらの状況を踏まえ、より具体的な事象を想定した避難のあり方検討や、噴石から登山者等の身の安全を確保するための安全な強度を持つ退避壕・退避舎の整備等が求められる。
こうした取組を支援できるよう、モデル団体における避難実施要領の作成を通じて避難場所や避難経路等を明確化・具体化した取組事例集を共有するとともに、施設整備に必要な補助金や地方債等の地方財政措置を講じる等、引き続き火山避難の実効性確保に向けて取り組む。
(1)火山避難の実効性確保
消防庁では、令和2年度に、モデルとして選定した山梨県内の4市町村において、特定の事象(噴火警戒レベル・当該市町村に影響のある火山現象)を想定し、避難対象地域・避難対象者や避難先、情報伝達等を可能な限り簡潔に記載した、避難実施要領を作成するモデル事業を実施した。
これらの事業成果を「火山避難の実効性確保に向けた取組事例」としてとりまとめ、ホームページに公開し、活用を働きかけるなど市町村の取組を支援している。
(2)退避施設の整備に係る地方財政措置
噴石から登山者等の身の安全を確保するために有効な、地方公共団体が行う退避壕・退避舎等の新設、改修に係る費用に対して「消防防災施設整備費補助金」や「緊急防災・減災事業債」による地方財政措置を講じている。
また、民間事業者が行う山小屋等を活用した退避施設の整備に係る費用について、地方公共団体が補助する場合に対しても地方財政措置を講じている。