令和3年版 消防白書

2.消防の広域化のメリット

消防の広域化のメリットとして、一般的に次の3点が挙げられる。

(1)初動体制の充実等による住民サービスの向上

広域化により消防本部の規模が大きくなり、消防本部全体が保有する車両等が増えることから、初動時や第2次以降の出動体制が充実するとともに、統一的な指揮の下、迅速で効果的な災害対応が可能になる。

(2)人員配置の効率化及び現場体制の充実

総務部門や通信指令部門の効率化を図り、人員を消火や救急部門に再配置することにより、不足している現場体制の強化が可能になる。また、予防部門や救急部門の担当職員の専任化を進めることにより、質の高い消防サービスの提供が可能になる。

(3)消防体制の基盤強化

財政規模の拡大による効率化により、小規模な消防本部では整備が困難であったはしご自動車、救助工作車及び消防指令センター等の計画的な整備が可能になる。また、職員数が増加することから、人事ローテーションの設定、職務経験不足の解消、各種研修への職員派遣など、組織管理の観点からも多くのメリットが期待できる。

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