令和3年版 消防白書

第2章 消防防災の組織と活動

第1節 消防体制

1.消防組織

(1)常備消防機関

常備消防機関とは、市町村に設置された消防本部及び消防署のことであり、専任の職員が勤務している。
令和3年4月1日現在では、全国に724消防本部、1,718消防署が設置されている(資料2-1-1)。
消防職員は16万7,073人であり、うち女性職員は5,885人である(第2-1-1図、資料2-1-1)。

第2-1-1図 消防職団員数の推移

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第2-1-1図 消防職団員数の推移

(備考)
1 「消防防災・震災対策現況調査」により作成
2 東日本大震災の影響により、平成23年の岩手県、宮城県及び福島県の消防職員数及び消防団員数については、前年数値(平成22年4月1日現在)により集計している。
3 東日本大震災の影響により、平成24年の宮城県牡鹿郡女川町の数値は、前々年数値(平成22年4月1日現在)により集計している。

市町村における現在の消防体制は、大別して、〔1〕消防本部及び消防署(いわゆる常備消防)と消防団(いわゆる非常備消防)とが併存している市町村と、〔2〕消防団のみが存する町村がある。
令和3年4月1日現在、常備化市町村は1,690市町村、常備化されていない町村は29町村である。常備化されている市町村の割合(常備化率)は98.3%(市は100%、町村は96.9%)で、ほぼ全国的に常備化されており、人口の99.96%が常備消防によって、カバーされている。なお、29の非常備町村は7都県に存在するが、地理的な要因から非常備である地域が多く、1都3県の21町村(非常備町村全体の72.4%)は島しょである(資料V)。
一部事務組合又は広域連合により設置されている消防本部は288本部(うち広域連合は22本部)であり、その構成市町村数1,109市町村(370市、599町、140村)は常備化市町村全体の65.6%に相当する。また、事務委託をしている市町村数は145市町村(39市、86町、20村)であり、常備化市町村全体の8.6%に相当する(第2-1-2図)。

第2-1-2図 消防本部の設置方式の内訳

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

第2-1-2図 消防本部の設置方式の内訳

(備考)
1 「消防本部及び消防団に関する異動状況報告」により作成
2 東京23区は1市として単独消防本部に計上
3 広域連合は「一部事務組合等」に含まれる。

(2)消防団

令和3年4月1日現在、全国の消防団数は2,198、消防団員数は80万4,877人であり、消防団は全ての市町村に設置されている。(第2-1-1図、資料2-1-1
消防団は、市町村の非常備の消防機関であり、その構成員である消防団員は、他に本業を持ちながらも、権限と責任を有する非常勤特別職の地方公務員として、「自らの地域は自らで守る」という郷土愛護の精神に基づき、消防防災活動を行っている。
消防団の組織体制等については、特集3を参照。

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、静岡県熱海市土石流災害や8月11日からの大雨などの自然災害に見舞われ、多くの人的・物的被害が生じました。 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、救急隊員の感染防止対策の徹底や、ワクチン接種業務への救急救命士の活用など様々な対応が求められました。 気候変動...
1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況
特集1 最近の大規模自然災害等への対応 1.令和3年7月静岡県熱海市土石流災害による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 6月末から日本付近に停滞した梅雨前線の影響で、西日本から東北地方の広い範囲で大雨となり、各地で河川氾濫、浸水、土砂崩れ等が発生した。 静岡県熱海市では、降り始めから7月...
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況
2.令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 気象の状況 8月11日から21日にかけて、日本付近に停滞した前線に暖かく湿った空気が断続的に流れ込んだ影響で前線の活動が活発となり、西日本から東日本の広い範囲にかけて大雨となった。 特に、8月12日から14日は...
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況
3.栃木県足利市林野火災による被害及び消防機関等の対応状況 (1)災害の概要 ア 火災の概要 令和3年2月21日15時20分頃、栃木県足利市西宮町地内にある両崖山山頂付近の山林(通称「紫山」)から出火した。管轄の足利市消防本部は同日の15時36分に覚知し消火活動に当たったが、強風注意報が発表された2...