2.防災に係る制度の見直し
令和元年東日本台風等を受けて中央防災会議の専門調査会である防災対策実行会議の下に設けられた「令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ」(以下「ワーキンググループ」という。)では、「避難勧告」と「避難指示(緊急)」の意味が正しく理解されていない、高齢者や障害者等の避難に課題がある、大規模広域避難を行う場合の課題が顕在化している等の論点が提示された。
その後ワーキンググループの下に設けられた「令和元年台風第19号等を踏まえた避難情報及び広域避難等に関するサブワーキンググループ」、「令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ」においてさらに議論され取りまとめられた報告書を受け、避難勧告・避難指示の一本化等の避難情報のあり方の包括的見直し、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、令和3年5月に災害対策基本法が改正された。
この法改正を踏まえて、内閣府等の関係機関と連携して地方公共団体の着実な取組を促す等、引き続き適切な災害対応に向けて取り組む。
(1)災害対策基本法の改正
令和元年東日本台風(台風第19号)等の災害対応の検証を踏まえ、令和3年5月に、避難勧告・避難指示の一本化(第2-9-1図)、個別避難計画作成の努力義務化、災害発生のおそれのある段階において国の災害対策本部設置を可能とする規定の追加、特定災害対策本部の新設(第2-9-2図)等を内容とする災害対策基本法の改正が行われた。
第2-9-1図 災害対策基本法改正後の警戒レベル
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※1 市町村が災害の状況を確実に把握できるものではない等の理由から、警戒レベル5は必ず発令されるものではない
※2 警戒レベル3は、高齢者等以外の人も必要に応じ、普段の行動を見合わせ始めたり危険を感じたら自主的に避難するタイミングである
(注)避難指示は、令和3年の災対法改正以前の避難勧告のタイミングで発令する
第2-9-2図 災害対策基本法改正前後の国の災害対策本部
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(2)地域防災計画の修正
地域における防災の総合的な計画である地域防災計画の策定については特定の災害ごとに作成している団体もあり、令和3年4月1日現在の都道府県の状況は第2-9-1表のとおりである。
地域防災計画については、災害対策基本法において、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならないこととされている。
消防庁では、災害対策基本法の改正、新型コロナウイルス感染症対策等を踏まえ修正した防災基本計画の内容に基づき、地域防災計画について必要な見直しを行うよう令和3年5月に地方公共団体へ要請した。
また、令和3年11月、防災基本計画の修正等を踏まえ、地方公共団体における地域防災計画の作成の基準等を定めた消防庁防災業務計画の修正を行った。
第2-9-1表 都道府県地域防災計画において特定災害対策計画を策定している都道府県数(令和3年4月1日現在)

(備考)「消防防災・震災対策現況調査」により作成