令和5年版 消防白書

住民等の自主防災活動

地域防災力の充実強化に当たっては、その中核となる消防団の充実強化だけでなく、地域住民一人一人が「自分たちの地域は自分たちで守る」という固い信念と連帯意識に基づき、コミュニティにおける自主的な防災活動を実施し、地域ぐるみの防災体制を確立することが重要である。
阪神・淡路大震災においては、地域住民が協力し合って、初期消火により延焼を防止した事例や、救助活動により人命を救った事例等が数多くみられた(第4-1図)。また、東日本大震災においても、地域における自主的な防災活動の重要性が改めて認識され、自主防災組織の結成の促進やその活動の活性化に向けた取組が各地で行われている。その後の大規模災害においても、自主防災組織が、地域住民の中心となってハザードマップの作成や避難訓練を実施するなど、日頃から地域防災力の向上に努めていた結果、地域住民の避難が適切に行われ、被害の軽減につながった事例もある。
自主防災活動が効果的かつ組織的に行われるためには、地域ごとに自主防災組織を整備し、平常時から、災害時の情報の収集伝達体制・警戒避難体制を確立し、防災用資機材の備蓄等を進めるとともに、大規模な災害を想定した防災訓練を積み重ねていくことが必要である。
また、地域の防火防災意識の高揚を図る上で、自主防災組織の育成とともに、女性防火クラブ、少年消防クラブ、幼年消防クラブ等の育成強化を図ることも重要である。

第4-1図 阪神・淡路大震災における生き埋めや閉じ込められた際の救助の状況

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