特集6 近年の安全保障環境等を踏まえた国民保護施策の推進
1. 我が国周辺の安全保障環境等
現在の安全保障環境の特徴として、国家間の相互依存の関係が一層拡大・深化する一方、国家間のパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増大している。こうした中、令和4年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵略など、既存の秩序に対する挑戦への対応が世界的な課題となっている。
我が国周辺においては、令和4年8月、中国が台湾周辺において軍事演習を行った際、同月4日に9発の弾道ミサイルを発射し、そのうち5発が我が国の排他的経済水域(EEZ)内に着弾した事案が発生している。
また、北朝鮮は、近年、かつてない高い頻度で弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、核・ミサイル関連技術と運用能力の向上に注力している。こうした軍事動向は、我が国の安全保障にとって、一層重大かつ差し迫った脅威となっており、地域と国際社会の平和と安全を著しく損なうものである。