4. 消防庁の取組等
災害を防ぐことはできなくても、備えることはできるため、関東大震災の経験を生かし、いつか来る災害に備えられるよう、消防庁は、国民一人ひとりの防災意識の向上に加え、地震火災対策の重要性を周知するための取組を行うこととした。「関東大震災から100年。学ぼう防災。守ろう命。」というキャッチフレーズを掲げ、広報、イベント、セミナー、訓練などの分野で、様々な取組を実施した。以下に、取組の例を紹介する。
(1)広報
ア インターネットを活用した広報
消防庁ホームページに関東大震災特設ページを作成し、関東大震災の概要をはじめ、地震発生時に取るべき行動についての啓発資料、地震火災対策の啓発資料、自主防災組織や消防団等の防災に関する組織に関する情報、火災旋風の実験映像等を掲載した。
また、関東大震災100年関係のイベント等を行った際は、X(旧Twitter)での情報発信を行った。
イ アニメとタイアップした広報
アニメ「め組の大吾 救国のオレンジ」とタイアップし、関東大震災100年を伝えるポスターを作成した。また、「め組の大吾 救国のオレンジ」の声優3名とタイアップし、地震火災対策にも効果的な、住宅用火災警報器の推進をテーマとしたポスターを作成した。これらを全国の消防本部等に配布し、広報を実施した。
ウ 広報媒体を活用した広報
毎月発行している広報誌「消防の動き」9月号に、関東大震災100年に関する消防庁の取組等を掲載したほか、年1回発行している消防大学校の機関誌「消防研修」において、関東大震災100年をテーマに有識者による地震対策等に関する寄稿、国や地方公共団体の取組等を掲載した。
(2)イベント
ア こども霞が関見学デーにおける啓発
令和5年8月2日及び3日に開催されたこども霞が関見学デーで、関東大震災100年に関する啓発資料等を展示した。こども霞が関見学デーは、各府省庁等が連携し、所管の業務説明や関連業務の展示等を行うことにより、子供たちに広く社会を知ってもらうこと、政府の施策に対する理解を深めてもらうこと、活動参加を通じて親子の触れ合いを深めてもらうことを目的としている。本イベントで、地震や地震火災への対策の解説資料及び東京消防庁が保有する過去の地震被害の写真を展示するとともに、公益財団法人 東京防災救急協会作成の関東大震災関係の動画を放映した。
イ ぼうさいこくたい2023における啓発
令和5年9月17日及び18日に開催された防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2023において公益財団法人 日本消防協会が主催したシンポジウム「横浜の関東大震災体験、そして今後の災害対応」に協力団体として参加した。パネリストとして消防庁国民保護・防災部長が参加し、関東大震災の被害や復興に伴うまちづくり、地域防災力の向上などの今後の大災害への備え等について議論した。
ウ その他のキャンペーンにおける啓発
9月の「老人の日」及び「敬老の日」の時期に合わせ、高齢者やその家族に対して火災予防を促す防火防災キャンペーンにおいて、地震火災を含む火災予防対策についてリーフレットによる普及・啓発を実施した。
また、令和5年11月9日から15日まで実施した秋季全国火災予防運動の実施通知においても、地震火災対策の推進等に係る一層の取組を促した。
(3)セミナー
ア 全国消防技術者会議の特別講演
全国の、消防に関わる技術者が消防防災の科学技術に関する調査研究、技術開発等の成果を発表するとともに、他の発表者や聴講者と討論を行う場として開催している全国消防技術者会議を令和5年度は11月16日及び17日に開催した。その中で、「関東大震災でなぜ東京は最大の被害を出したのか?-大火災の原因とその後-」と題した特別講演が名古屋大学減災連携研究センターの武村雅之特任教授によって行われた。
また、このほかにも、消防庁職員が講師を務める各種研修の機会をとらえて、関東大震災100年に関する啓発を実施した。
(4)関東大震災100年を踏まえた訓練
ア 緊急消防援助隊地域ブロック合同訓練(大規模地震を想定した訓練)
令和5年度には緊急消防援助隊地域ブロック合同訓練(受援応援訓練)を全国6か所で実施しているが、当該訓練は、大規模な地震等により、建物倒壊、土砂災害、火災、交通事故等が多発的に発生したことを想定して行った。
また、9月1日に実施された「防災の日」総合防災訓練、同日の相模原市における九都県市合同防災訓練(九都県市主催)と連携して実施した被災地への現地調査訓練、12月5日に実施された緊急災害現地対策本部運営訓練、12月15日に実施された首都直下地震対処訓練等、内閣府防災等が主催する各種訓練に参加した。