令和6年版 消防白書

火災予防行政の課題

1.住宅防火対策の推進

近年の住宅火災による年齢階層別死者数(放火自殺者等を除く。)は、65歳以上の高齢者の占める割合が7割以上と高水準で推移している状況であり、更なる高齢化の進展が見込まれる中で、住宅火災による高齢者の死者数の割合は今後増加していくことが予想される。
住宅火災による高齢者の死者数の低減を図るため、住宅における効果的な防火対策を高齢者や高齢者の家族が自ら行えるよう必要な情報の提供などを推進する必要があることから、近年の火災を取り巻く状況の変化や高齢者の生活実態等を踏まえ、「住宅防火いのちを守る10のポイント」を新たに定めるとともに、ポイントの概要を示したリーフレット等を作成した。
住宅用火災警報器については、平成23年6月に全ての住宅への設置が義務化され、令和3年6月に10年を経過したことから、定期的な点検や老朽化した機器の交換といった、適切な維持管理を促進することが重要である。交換の際には、連動型住宅用火災警報器、一酸化炭素等を感知して警報する機能を併せ持つ住宅用火災警報器、音や光を発する補助警報装置を併設した住宅用火災警報器など、付加的な機能を併せ持つ機器などへの交換を広報活動等を通じて促していく。
また、近年の大規模地震においては、電気に起因する火災が多く発生しており、地震時の電気火災リスクを低減するため、感震ブレーカー等の普及を積極的に推進していく(感震ブレーカーの普及推進についてはトピックス3を参照)。

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住宅防火いのちを守る10のポイントリーフレット

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