2.避難行動要支援者に係る避難の実効性の確保
市町村においては、障害者や高齢者等の避難行動要支援者の避難の実効性を確保するため、災害対策基本法に基づき、避難行動要支援者名簿を作成すること及び個別避難計画の作成に努めることが求められている。
名簿作成等に当たって留意すべき事項を示した「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(平成25年8月策定、令和3年5月改定)等を踏まえ、市町村において避難行動要支援者に係る避難の実効性の確保に向けた取組が進められているところである。
消防庁では内閣府と連携して避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成状況に係る調査を行い、実態を把握するとともに、先進的な取組事例を共有するなど、引き続き市町村の取組を支援していく。
(1)避難行動要支援者名簿の作成及び更新等
災害対策基本法では、要配慮者のうち自ら避難をすることが困難であり、特に支援を要する避難行動要支援者について名簿を作成することが市町村の義務とされている。内閣府とともに実施した調査結果によると、すべての市町村で避難行動要支援者名簿が作成されている。
名簿の作成後も避難行動要支援者の心身の状況や生活実態は時間の経過とともに常に変化しうるものであり、定期的にその実態を把握し、名簿に反映する必要があることから、市町村において名簿の更新サイクルや更新の仕組みの見直しについて検討することが求められる。また、平常時から避難支援等関係者に名簿情報を提供し、避難支援体制の構築に努めることが円滑な避難支援、ひいては避難行動要支援者の安全確保に効果的である。そこで、消防庁では、名簿情報の避難支援等関係者への提供に関する本人同意の取得や、本人同意の有無にかかわらず外部提供できる根拠となるよう、条例に特別の定めを置くことについて検討することを、令和6年6月28日に内閣府とともに都道府県を通じて市町村に通知した。
(2)個別避難計画の作成
災害対策基本法では、避難行動要支援者ごとに個別避難計画を作成することが市町村の努力義務とされている。内閣府とともに実施した調査結果によると、令和6年能登半島地震の発生に鑑み、石川県内の19市町を除いた1,722市町村のうち、個別避難計画を1件以上作成している市町村の数は、令和6年4月1日現在で、1,581(割合でみれば91.8%)となっている。
個別避難計画の作成に当たっては、地域におけるハザードの状況や当事者本人の状況を踏まえ、優先度の高い者から着実に作成していくことが求められる。また、優先度の検討と併せて、市町村において、庁内外での連携、福祉専門職の参画、同計画に基づく避難訓練の実施などを進めることが重要である。消防庁では、令和6年6月28日に内閣府とともに都道府県を通じて市町村に通知し、既に個別避難計画の作成に着手している市町村は更に効率的・効果的に取組を進め、まだ着手していない市町村は速やかに個別避難計画の作成に着手するよう要請したところであり、引き続き市町村の取組を支援していく。