令和6年版 消防白書

特集2 近年の大規模災害等への対応

1.羽田空港における航空機火災及びその対応状況

(1)災害の概要

ア 発災の状況

令和6年1月2日17時47分頃、東京国際空港(羽田空港)C滑走路上において、日本航空516便(新千歳発羽田行き)と海上保安庁所属JA722A機(令和6年能登半島地震の被災地への支援物資輸送準備中)が衝突し、両機が炎上した。

イ 被害の状況

日本航空機側乗員・乗客379人のうち負傷者15人、海上保安庁機側乗員6人のうち死者5人、負傷者1人の人的被害が発生した*1
また、衝突した両機が全焼するとともに、同空港A・B・D滑走路は1月2日21時29分の運用再開まで利用が停止され、事故が発生したC滑走路では、1月8日0時00分の運用再開まで利用が停止され、1月2日から同月9日までに欠航1491便、旅客数約26万人に影響が発生した。

(2)消防機関等の活動

ア 消防庁の対応

消防庁においては、1月2日18時00分に国民保護・防災部長を長とする消防庁災害対策本部(第2次応急体制)を設置し、情報収集体制の強化を図った。

イ 消防機関等の活動

事故発生後、国土交通省東京空港事務所の化学消防車6台が出動し消火に当たるとともに、管轄の東京消防庁から大型化学消防車、救急車等115隊が出動し消火・救急等の対応に当たり、日本航空機火災は1月3日2時15分に、海上保安庁機火災は1月2日21時35分にそれぞれ鎮火した。
消火活動においては、東京消防庁の屈折放水塔車、無人走行放水装備、消火用水に海水を用いるための遠距離大量送水装備等も活用し、脱出した乗客の保護においては、東京空港事務所や空港内事業者で組織される消火救難協力隊やDMAT等も活動した。

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屈折放水塔車を用いた消火活動の様子(東京消防庁提供)


*1 速報値であり、今後、変更の可能性がある。

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