特集5 消防団を中核とした地域防災力の充実強化
火災の発生に加え、気象災害が激甚化・頻発化し、大規模地震の発生も切迫する中、地域住民の生命、身体及び財産を災害から保護する地域防災力の重要性が更に増している。
消防庁では、平成25年12月に成立した「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」(以下、本特集において「消防団等充実強化法」という。)(特集5-1図)を踏まえ、地域で防災活動を担う多様な主体が支える地域防災力の充実強化に向け取り組んでいる。
特集5-1図 消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律概要
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特に消防団は、
・地域密着性(消防団員は管轄区域内に居住又は勤務)
・要員動員力(消防団員数は消防職員数の約4.4倍)
・即時対応力(日頃からの教育訓練により災害対応の技術・知識を習得)
といった特性を有しており、地域防災力の中核として、更なる充実強化に向け取り組む必要がある。
1.消防団の現状
(1)消防団員の減少
消防団員数は年々減少しており、令和6年4月1日現在、前年に比べ1万5,989人減少し、74万6,681人となった(特集5-2図)。
特集5-2図 消防団員数の現状
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(2)入団者数の増加・退団者数の減少
消防団員数は依然として減少傾向にある一方で、入団者数については、入団促進に向けて重点的に取り組んできた女性団員や機能別団員の増加等に伴い、2年連続で増加となっている。年齢階層別に入団者数をみると、若年層については、2年連続の増加となっているものの、消防団員の平均年齢は毎年少しずつ上昇しており、令和6年4月1日現在、前年に比べ0.4歳上昇し、平均44.0歳となっている。
また、退団者数については3年ぶりに減少となった。
(3)被用者である消防団員の割合の増加
被用者である消防団員の全消防団員に占める割合は高い水準で推移しており、令和6年4月1日現在、前年に比べ若干上昇し、73.2%となっている。
(4)女性消防団員の増加
消防団員数が減少する中、女性消防団員の数は年々増加しており、令和6年4月1日現在、前年に比べ641人増加し、2万8,595人となっている。また、女性消防団員がいる消防団の割合は、同日現在で、80.3%となっている。
(5)学生消防団員の増加
大学生、大学院生、専門学校生等の消防団員(以下、本特集において「学生消防団員」という。)の数は令和6年4月1日現在、前年に比べ560人増加し、7,122人となっている。消防団員数が減少する中、学生消防団員の数は増加傾向にある。
(6)機能別消防団員の増加
機能別消防団員とは、全ての災害対応・活動に参加する基本団員とは異なり、入団時に決めた特定の活動・役割を担う消防団員である。例えば、基本団員のみでは人員不足が生じるような大規模災害に限り出動する「大規模災害団員」や、高齢者宅訪問等の火災予防、広報活動等のみに従事する団員などが挙げられる。
基本団員の数が減少する中、機能別消防団員の数は年々増加しており、令和6年4月1日現在の機能別消防団員の数は、前年に比べ2,890人増加し、3万7,580人となっている。