3.最近の北朝鮮によるミサイル発射の動向と発射に対する消防庁の対応
(1)全般
北朝鮮は、平成28年2月の「人工衛星」と称する弾道ミサイル発射以降、頻繁にミサイルの発射を繰り返している。
これを受け、消防庁では、弾道ミサイルが発射され、我が国の領土・領海に落下する又は我が国の領土・領海の上空を通過する可能性があると判明した場合には、全国瞬時警報システム*3(以下、本特集において「Jアラート」という。)を使用して都道府県・市町村を通じた住民への迅速な情報伝達を行っている(特集7-5図)。
特集7-5図 弾道ミサイル発射時のJアラートによる情報伝達
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また、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返している状況を踏まえ、地域住民の安全・安心の確保を図るため、緊急一時避難施設の指定を促進するとともに、内閣官房国民保護ポータルサイトにおいて、緊急一時避難施設の場所や弾道ミサイル飛来時の行動等を掲載している(特集7-6図)。
特集7-6図 弾道ミサイル飛来時の行動について(内閣官房作成資料)
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(2)令和6年5月27日の弾道ミサイル技術を使用した発射事案
ア 事案の概要
北朝鮮は、令和6年5月27日22時43分頃、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行した。
弾道ミサイル技術を使用して発射された物体が我が国の領域に落下する又は上空を通過する可能性があったことから、同日22時46分、ミサイル発射情報・避難の呼びかけに関する情報を対象地域の全市町村に対してJアラートにより伝達し、緊急速報メールを含むいずれかの情報伝達手段により、住民への伝達が行われた。
その後、領域への落下や上空通過の可能性がないことが確認されたため、Jアラートにより避難の呼びかけの解除に関する情報の配信が行われた。
イ 消防庁の対応
(ア)発射通報を受けた際の関係機関との連携
令和6年5月27日の事案の際には、北朝鮮から我が国に対し、衛星を打ち上げることについての通報がなされている。これらを受け、消防庁は内閣官房と連携の上、地方公共団体及び消防機関における住民に対する情報伝達体制の確保やJアラートによる情報伝達の際の対応等に係る通知を発出し、地方公共団体の危機管理体制の確保に万全を期した。
(イ)弾道ミサイル技術を使用した発射事案への対応
令和6年5月27日の事案において、消防庁は、Jアラートによる情報伝達とあわせて、消防庁長官を長とする消防庁緊急事態調整本部から全国の地方公共団体に対して情報提供を行うとともに、対象地域に対して適切な対応及び被害報告について要請を行っている。
なお、落下物情報や被害状況等を確認した結果、対象地域の全ての地方公共団体から、被害なしとの報告を受けている。
(3)情報伝達の確実性向上に向けた取組
消防庁では、Jアラートを運用する全ての地方公共団体を対象とした全国一斉情報伝達試験や、全てのJアラート情報受信機関を対象とした導通試験を実施し、Jアラートが正常に動作することを定期的に確認している。
今後も、Jアラート関連機器点検チェックシート等に基づく機器の設定確認や再点検を徹底するとともに、支障のあった団体に対し、その都度その原因を調査し早急に改善を図るための支援体制を強化するなど、国民に対する速やかな情報伝達を図っていく。
*3 全国瞬時警報システム:内閣官房から発出される弾道ミサイル攻撃など国民保護に関する情報や気象庁より発出される緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を、人工衛星及び地上回線を通じて送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、人手を介さず瞬時に住民等に伝達することが可能なシステム