令和6年版 消防白書

Topics6 国際協力・国際交流

■国際消防防災フォーラムの開催

アジア諸国では、経済発展・都市化が進む中、これまで以上に高度な消防防災体制の構築が必要とされている。このため、人命救助、消火及び火災予防の技術や制度に関しても、これらの国々からの我が国の国際協力への期待は大きい。
このことを踏まえ、消防庁では平成19年度から、主にアジア圏内の国において、「国際消防防災フォーラム」(以下、本トピックスにおいて「フォーラム」という。)を開催しており、令和5年度は、カンボジアにて実施した。

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フォーラムの様子(令和5年度 カンボジア)

令和5年度に開催したフォーラムには、消防・救助を担当する内務省のみならず、自衛防災組織、空港消火隊、消防防災関連企業など、カンボジアの様々な層から約250名の参加を得ることができ、日本からも、消防庁以外に在カンボジア日本国大使館、13の消防防災関連企業等が出席した。
2日間にわたる開催期間中、我が国の火災予防制度、消防団制度等の説明に加え、日系企業等による製品紹介が行われた。

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展示ブースにおける日系企業の製品紹介(令和5年度 カンボジア)

令和5年度に開催したフォーラムへの参加企業等は、フォーラムで築いたネットワークを基に、海外展開に取り組んでいる。

■開発途上国からの研修員受入れ

消防庁では、JICAと連携し、開発途上国の消防防災機関職員を対象に「救急救助技術」研修及び「消防・防災」研修の2コースの課題別研修を、消防本部の協力の下で実施している。
現在、「救急救助技術」研修は大阪市消防局、「消防・防災」研修は北九州市消防局において技術指導を実施している。

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救急救助研修(令和5年度 大阪)

■中古消防車両等の海外寄贈

消防本部や消防団の中には、開発途上国からの要請に応じて、不用となった消防車両等を無償で寄贈しているところもあり、令和5年度は26の国へ111台が寄贈されている。また、一部では消防車両等の寄贈に併せて、車両のメンテナンスや使用要領に関して技術指導も行っている。
このような寄贈は、開発途上国の災害対応能力向上に寄与するだけでなく、我が国の「顔の見える国際協力」として効果が大きく、消防庁では関係省庁等とも連携しながら、これを推進している。

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車両寄贈時における技術指導(令和6年3月 ブータン)

■ベトナム消防防災展への参加

例年、ベトナムからの招待を受けて、ベトナム消防防災展に消防庁関係者、消防用機器等の製造を行う企業や検査を行う機関等の団体が参加している。
令和5年度は、日越外交関係樹立50周年の年であることを記念し、総務大臣政務官が参加した。また、消防庁から、日本の火災予防制度に関する講演を行うとともに日本の消防用機器等のメーカー等が出展し、製品のPRを行った。このほか、参加各国による、消防用機器等の展示が行われた。

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総務大臣政務官の挨拶

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