令和6年版 消防白書

Topics 5 大規模災害時における情報の収集・広報

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

令和6年能登半島地震における輪島市でのヘリコプターによる活動状況
(富山県消防防災航空隊提供)

■大規模災害時における情報収集

災害時に的確な対応を図るためには、被災地の被害情報・孤立情報をはじめとした様々な情報を迅速に収集・集約するとともに、災害対応に当たる関係者間で、緊密に情報共有することが求められる。
消防庁では、大規模災害時に的確かつ迅速な対応を図るため、各消防本部や地方公共団体等から情報収集している。
消防庁が把握する情報には、119番通報や被害者の数等に加え、緊急消防援助隊が撮影した災害現場の映像、都道府県の消防防災ヘリコプターによる上空からの映像や高所監視カメラ映像などがあり、被害状況等の把握のためには、視覚的な情報の収集・共有が重要である。

■「消防庁映像共有システム」の活用

消防庁では、災害現場の映像情報を共有する手段の充実を図るため、「消防庁映像共有システム」を整備し、令和6年9月から運用を開始している。
本システムは、インターネットに接続可能なパソコンやスマートフォンからアクセスし、映像等の投稿・閲覧・管理などを行うシステムである。災害現場に最も早く駆けつける消防職団員からの映像情報を、消防庁と地方公共団体の間や地方公共団体間で共有することで、被害の早期把握や迅速な対応につなげるものである。
令和6年度中には、本システムと内閣府の新総合防災情報システム(SOBO-WEB)を接続することとしており、映像等を関係府省庁とも共有し、国としての迅速かつ効果的な災害対応につなげていく。
消防団を含めた各消防機関においては、発災時に本システムを活用して、映像等の情報を関係者と共有できるように、普段からの訓練等にも本システムを取り入れるなど、本システムの積極的な活用に向けた取組を進めることが重要である。

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

令和6年能登半島地震における土砂ダムの状況
(名古屋市統括指揮支援隊提供)

トピックス5-1図 消防庁映像共有システム

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

■消防庁現地広報員の活動

消防庁では、大規模災害が発生し、緊急消防援助隊の出動が決定した場合等に、状況により消防庁現地広報員を派遣している。
消防庁現地広報員は、被災地における被害の状況や緊急消防援助隊・地元消防本部・消防団の活動等を記録し、正確かつ適切に報道されるよう情報共有を行うとともに、厳しい状況下における消防職員や消防団員の働きを広く伝えること等により、現地で尽力している部隊の士気向上等を図っている。

画像をクリック(タップ)すると拡大表示します

現地広報員による活動

関連リンク

はじめに
はじめに 昨年は、元日に令和6年能登半島地震が発生し、多くの尊い命が失われ、甚大な被害をもたらしました。5月以降は、大雨や台風などによる被害が日本各地で生じたことに加え、8月には宮崎県日向灘を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されました。また、9月20日からの大雨では、石川県...
1.令和6年能登半島地震への対応
特集1 令和6年能登半島地震等への対応 1.令和6年能登半島地震への対応 (1)地震の概要 令和6年1月1日16時10分、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震(以下、本特集において「本地震」という。)が発生し、石川県輪島市や志賀町で震度7を観測したほか、北陸地方を中心に北海道から九州...
2.地震の検証と今後の対応
2.地震の検証と今後の対応 (1)政府における検証 政府においては、関係省庁が連携して初動対応に当たるとともに、救命救助や捜索、インフラやライフラインの復旧、被災者支援等に政府一体となって取り組んだ。これらの経験を今後の災害対応に活かしていくため、政府は内閣官房副長官補(内政担当)を座長とする「令和...
3.令和6年9月20日からの大雨への対応
3.令和6年9月20日からの大雨への対応 (1)災害の概要 ア 気象の状況 令和6年9月20日頃から前線が日本海から東北地方付近に停滞し、21日は前線上の低気圧が日本海を東に進み、22日には台風第14号から変わった低気圧が日本海から三陸沖へ進んだ。低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影...