5.大地震から命を守るために

 熊本地震の教訓を踏まえ、命を守るために必要な大地震への備えについて見ていきましょう。

 熊本地震では、地方公共団体、住民の備蓄が足りず、物資が不足する事例がありました。大きな地震など大災害が起これば、道路の寸断や情報の途絶、電気・ガス・水道・通信などのライフラインや物資の供給が止まり、被災地外から孤立した状態が続く可能性があります。

 救援物資の不足に備えて、家族が最低でも3日間、できれば1週間は過ごせるだけの水や食料品を備蓄しましょう。

  その際、備蓄のためだけに物資を全て新たに確保するよりも、普段の食事に利用する缶詰やレトルト食品などを少し多めに買い置きし、製造日の古いものから使い、使った分は新しく買い足して、常に一定量の備えがある状態を保つ「ローリングストック方式」が、ご家庭で実践しやすく、廃棄するといった無駄のない備蓄方法です。
 そのほかにも災害時に的確な避難行動が取れるよう、避難経路や避難場所を平時から確認しておくことも重要です。

 熊本地震では、地震発生直後の人命救助や避難誘導の際、自治会等による家屋の被災状況や住民の安否確認などで「共助」の重要性が改めて認識されました。
 災害時に被害の拡大を防ぐためには、普段から顔を合わせている地域や近隣の人々が互いに協力し合う「共助」の取組が必要になります。特に、体の不自由な方や、単独で避難するのが困難な方が円滑に避難できるよう、平時からこういった方とのコミュニケーションを図ることが重要です。

 また、地区居住者等により自発的に行われる防災活動を地域住民自ら定める「地区防災計画」を策定することにより、「災害時に、誰が、何を、どれだけ、どのようにすべきか」などについて整理することができ、地域防災力の底上げを効果的に図ることにつながります。

 「共助」の取組は一部の方だけでは達成できません。地域に住む一人一人が防災意識を高め、防災訓練等の活動に組織的に取り組むことにより、住民同士の信頼関係が構築され、地域の防災力の向上につながります。そして、このような取組が、災害時の避難誘導や避難所運営などにおいて重要な役割を果たすことになります。