消防庁が配備したNBC災害対応資機材取扱映像 (監修·制作協力:消防庁・櫻護謨株式会社、帝國繊維株式会社)
3.バイオキャプチャー

 バイオキャプチャー650。

 バイオキャプチャー650は、エアロゾルとして大気中に散布された生物剤を携帯型生物剤検知装置で、検知・判定するためにサンプル採取するための装置です。

 作動前の準備から始めます。

 まず、本体裏側のバッテリーボックスのカバーを開け、バッテリーを取り付けます。

 この際、バッテリーのチェックボタンを押し、残量が十分にあることを確認します。

 バイオキャプチャーを平らな面に置き、保管時に取付けてあるトレーニングカートリッジを取り外します。

 トレーニングカートリッジは、親指で両側の取り付けクリップを同時に押し、クリップをカートリッジから外すことで、取り外せます。


 電源ボタンを押し、バイオキャプチャーを起動します。

 電源ボタンを押すことで、ポンプ起動装置がカートリッジ取り付け時の正しい位置に自動調整されます。

 スタート・ストップボタン、モードボタンのランプが緑色に点灯し、液晶ディスプレーが「アタッチカートリッジ」の表示に切り替わるまで待ちます。

 未開封のコレクションカートリッジのパッケージを開封し、取付クリップに均等に力がかかるよう押し込み、しっかりと取り付けます。

 この際、有効期限とパッケージに損傷がないかを確認します。有効期限が切れている場合、又はパッケージに損傷があるカートリッジは使用しないでください。

 液晶ディスプレーに「レディー」が表示されたら作動準備の完了です。

 サンプルの採取手順の説明をします。

 採取する現場では、所定の防護服を着装し作業を行ってください。

 モードボタンを必要回数押し、サンプル採集時間を5分、15分、30分、60分から選択してください。

 スタート/ストップボタンを押せば約10秒間の自己診断の後、スタート/ストップボタンのランプが緑色で点滅し、液晶ディスプレーに「サンプリング」の文字と、残り時間が表示され、サンプル採集が開始されます。

 残り時間2分30秒で、自動的に採集したサンプル粒子をバッファー液で洗い落とします。

 残り時間が0分00秒で、スタート/ストップボタンのランプが緑色で短く点滅し、液晶ディスプレーが「リカバリー」に変わります。

 残り時間の表示が1分19秒になり、再度カウントダウンが始まり、スタート/ストップボタンのランプが緑色で点灯し、洗い落としたバッファー液を自動的にバイアル瓶に流し入れます。

 液晶ディスプレーが「サンプルインバイアル」を表示するとサンプル採集の終了です。

 コレクションカートリッジを取り外し、カートリッジに付いているバイアル瓶を支えながら台座を折り曲げ、サンプル液が漏れないようにバイアル瓶をゆっくりと取り外し、しっかりと蓋をします。

 バイアル瓶は、防護服と共に除染シャワー等で除染をした後、検知作業を行う場所に受け渡します。

 電源ボタンを押すことで装置は停止します。

 バイオキャプチャーは、使用後、除染が必要になります。

 家庭用漂白剤を3%に希釈した溶液で湿らせた布や綿棒で、拭き取りにより除染を行った後、真水で湿らせた布や綿棒で2度拭きをし、除染作業の終了です。

 最後に注意・参考事項を説明します。

 トレーニングカートリッジは、装置のインペラーやセンサーを保護するカバーの役割もあるため、保管時には必ず取付けておきましょう。

 サンプル採取中はできるだけ水平になるよう持って運用しましょう。

 以上、バイオキャプチャーの使用方法を説明してきました。不明な点などは平成28年度救助技術の高度化等検討会報告書を確認し、安全で正確な検知を行うようにしてください。

 ラピッドバイオアラート&BTAテストストリップス。

 ラピッドバイオアラート&BTAテストストリップスは、判定装置及び検知用チケットを利用し、生体を脅かす可能性がある生物剤の存在の有無を現場で迅速に検知・認識する装置です。

 使用方法。

 検知は大きくサンプルの採取、テストストリップスによる検査、ラピッドバイオアラートによる判定という3つの流れに沿って行います。

 サンプルの採取手順を説明します。

 まず、バイアル瓶にバッファー液を1ミリリットルの目盛りまで入れます。

 検査するテストストリップスが5枚以内の場合は、バイアル瓶1個、検査するテストストリップスが5から9枚の場合は、バイアル瓶2個を準備。

 所定の防護服を装着し、準備したバイアル瓶と綿棒を現場に持ち出しサンプリングを行います。

 バイアル瓶の蓋を開け、綿棒の先端をバッファー液で湿らせ、原因と思われる粉体等を付着させた後に先端をバイアル瓶のバッファー液中に入れ、5から10秒かき混ぜます。

 飛散した生物剤が堆積したと推測される場所でサンプリングを行う場合、バッファー液で濡らした綿棒で堆積した物体の表面を数回こすり、採取します。

 綿棒をバッファー液から取り出す際には、先端をバイアル瓶の内壁面に押し付けてできるだけバッファー液を絞りだすようにします。

 また、布などをサンプルとしたい場合は、ハサミで直径7、5ミリメートル以下に切り取り、採取します。

 バッファー液が漏れないよう、バイアル瓶のふたをしっかり締めましょう。

 バイアル瓶は防護服と共に除染シャワー等で除染をした後、検知作業を行う場所に受け渡します。

 続いて、テストストリップスによる検査手順を説明します。

 検知対象とする生物剤が判明している場合は、該当するテストストリップスを、生物剤が判明していない場合は全てのテストストリップスのパッケージを開封し水平な場所に置き準備します。

 この際、有効期限とパッケージに損傷がないかを確認します。有効期限が切れている場合、又はパッケージに損傷があるテストストリップスは誤判定や無効判定が出る可能性があるので使用しないでください。

 サンプル採取したバイアル瓶の目盛りを確認し、バッファー液が1ミリリットルに満たない場合は、1ミリリットルになるようにバッファー液を継ぎ足します。

 試料とバッファー液が混合するように良く振り、30から60秒間、静かに置きます。

 バイアル瓶から沈殿物を吸い込まないように上澄み液をスポイトで採取します。

 用意したすべてのテストストリップスのサンプルポートに上澄み液を5滴、滴下していきます。

 15分経過後、テストストリップスのサンプルウィンドウとコントロールウィンドウにラインが現れているかを確認します。

 サンプルウィンドウ、コントロールウィンドウ、両方にラインが現れた場合、陽性です。

 コントトールウインドウのみにラインが現れた場合は陰性です。

 コントロールウィンドウにラインが現れない場合は、無効のため再検査してください。

 人の目による誤った判断をなくし、より正確な結果を得るため、更にラピッドバイオアラートによる光学的な判定に移行します。

 目視判定の後、テストストリップスをラピッドバイオアラートで判定します。

 まず、本体右上部の電源スイッチを左にスライドし電源をONにします。

 本体左上部のタッチスクリーン用のペンを使用し、画面に表示される「ラピッドバイオアラート」アイコンをダブルクリックし、プログラムを起動させます。

 この際、ログインダイアグラムが表示されるので、正面左下部のボタンで仮想キーボードを開き、パスワードを入力し、「続ける」をクリックします。

 画面の「新しい測定」をクリックしカメラのプレビュー画面を表示させます。

 測定ユニットのトレーを引き出し、トレーに結果の得られたテストストリップスを正確に設置し、トレーを押し込みます。この際、テストストリップスのウィンドウには触れないように注意します。

 プレビュー画面にテストストリップスが表示された後、「続ける」をクリックし光学的判定を開始します。

 判定が終了後、テストストリップスの種類を選択するウィンドウが表示されるので、テストストリップスの種類を選択し、「続ける」をクリックします。その後、判定結果が表示されます。

 「陰性」の場合、緑の大きな文字で「陰性」と表示されます。

 「陽性」の場合、赤の大きな文字で「陽性」と表示・点滅し、警報音が鳴ります。

 判定結果が陽性の場合、サンプル中に生物剤が存在する可能性が非常に高いので、専門機関で厳密な検査を行う必要があります。

 測定を終了するには、ツールバーの「終了」をクリックし、ダイアグラムで「はい」を選択してプログラムを終了した後に本体の電源を切ります。

 最後に、注意・参考事項を説明します。

 未使用のテストストリップスとバッファー液は15度から30度の室温程度で保管してください。

 サンプル濃度がテストストリップスの検知限界以下の場合、陰性の結果となることがあるため、現場で異常が認められる場合には専門機関による検査等を行ってください。

 テストストリップスは該当の生物剤だけでなく、これらの干渉物質による化学反応でも偽陽性を示す場合があります。

 炭疽菌、ペスト、リシンの3種類が混合されている可能性は低いため、この3種類が同時に陽性と判定された場合は、干渉物質による化学反応を疑う1つの根拠となります。

 以上、ラピッドバイオアラート&BTAテストストリップスの使用方法を説明してきました。不明な点などは平成28年度救助技術の高度化等検討会報告書を確認し、安全で正確な検知を行うようにしてください。

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