4 全国瞬時警報システム(J-ALERT)と安否情報システムの活用
(1)全国瞬時警報システム(J-ALERT)
ア 運用状況
消防庁では、緊急地震速報をはじめ、津波警報、弾道ミサイル発射情報等といった、対処に時間的余裕のない事態に関する緊急情報を、人工衛星を用いて市町村の同報系防災行政無線等を自動起動させることにより、住民に瞬時に伝達するシステムの整備を推進している。平成20年10月1日現在、42都道府県及び134市区町村において運用されている(情報の受信のみの団体も含む)。
イ 今後の方向性
消防庁では、同報系防災行政無線以外にも、業務用無線方式の一つであるMCA無線やコミュニティFMなど多様な手段を用いて緊急情報を住民に伝達することや、新たに開発されたJ-ALERT専用小型受信機を用いて、消防署所、役場出先庁舎、公立学校・病院等において情報を直接受信できるようにするなど、利用範囲の拡大に取り組んでいる。
また、地方公共団体においては、ハード面の整備に併せて、J-ALERTを用いた緊急地震速報の訓練など、同報系防災行政無線等からの情報が伝達されたときに、どのような行動をとるべきか等の必要な情報を住民に周知する等のソフト面での取組や避難訓練を行うことが重要である。

(2)安否情報システムについて
安否情報システムは、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(平成16年法律第112号)に規定される安否情報事務(「第3章 国民保護への取組4(2)イ 安否情報システム」参照)を効率的に行うことを目的に、消防庁が開発したシステムであり、平成20年4月25日に運用を開始したところである。
ア 安否情報システムの主な機能
安否情報システムは、武力攻撃に限らず、大地震をはじめとする自然災害や事故の際にも利用することが可能であり、機能としては、〔1〕避難所、医療機関、警察機関等から収集した安否情報をシステムに入力する機能、〔2〕入力された安否情報のうち誤入力や重複した安否情報について、修正や重複の排除をし、安否情報を最新かつ正しいものに整理する機能、〔3〕整理した安否情報を、市町村はその区域を管轄する都道府県に、都道府県は国(消防庁)に報告し、国において全地方公共団体が安否情報を共有できるようにする機能及び〔4〕国民からの照会に対し、システムから被照会者に係る安否情報を検索し、検索した安否情報を回答書の様式で印刷する機能がある。

イ 今後の取組
消防庁としては、自然災害の際に利用する場合の課題や準備事項について情報提供を行うなど、地方公共団体への支援を行っているところであるが、引き続き、事務処理が円滑かつ的確に実施されるよう安否情報システムの操作訓練や、国民保護共同訓練における利用を推進し、体制の検証及び課題の抽出に努め、システムの充実強化を図っていくこととしている。