5 消防用機械器具等の検定等
消防の用に供する機械器具等は、火災予防、消火又は人命救助等のために重要な役割を果たすものであり、一定の性能等を有し、実火災等において必要な機能を発揮することが不可欠である。そこで、一定の形状や性能等を有していない場合、火災の早期発見、通報、初期消火、安全避難に重大な支障を生ずるおそれのある消防用機械器具等については、検定制度又は自主表示制度により、一定の性能を担保することとしている。
(1)検定
検定の対象となる消防用機械器具等(以下「検定対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の2の規定により、検定に合格し、その旨の表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。 検定対象機械器具等は、消火器、閉鎖型スプリンクラーヘッド等消防法施行令第37条に定める14品目である。 この検定は、「型式承認」(形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合している旨の承認)と「個別検定」(個々の検定対象機械器具等の形状等が、型式承認を受けた検定対象機械器具等の型式に係る形状等と同一であるかどうかについて行う検定)からなっている(第1-1-37表)。
また、新たな技術開発等に係る検定対象機械器具等について、その形状等が総務省令で定める技術上の規格に適合するものと同等以上の性能があると認められるものについては、総務大臣が定める技術上の規格によることができることとし、これらの検定対象機械器具等の技術革新が進むよう検定制度の整備充実を図っている。 平成20年10月、製造事業者が消防用ホースに係る個別検定時に試験サンプルをすり替えるなどの不正行為を行っていたことが判明した。消防庁は、これを踏まえ、当該製造事業者に対し、不正の原因究明、不正を行った間の消防用ホースの安全チェック及び再発防止策を、検定業務を実施している日本消防検定協会に対し、不正を見逃すこととなった原因の究明及び再発防止策を実施するように指示している。また、消防機関に対しては、消防用ホースの点検などを通じて安全管理の徹底が図られるよう通知しているところである。 消防庁では、上記の再発防止策及び流通品等への対応策に関し、定期的に報告を受け、進捗状況を監視している。
(2)自主表示
自主表示の制度は、消防法第21条の16の3の規定により、製造事業者等の責任において、自ら規格適合性を確認し、あらかじめ総務大臣に届出を行った型式について表示を付すことが認められるものである。自主表示の対象となる機械器具等(以下「自主表示対象機械器具等」という。)は、消防法第21条の16の2の規定により、表示が付されているものでなければ、販売し又は販売の目的で陳列する等の行為をしてはならないこととされている。自主表示対象機械器具等の対象品目は、消防法施行令の規定により、動力消防ポンプ及び消防用吸管とされている。 平成20年度、製造事業者からの届出は、動力消防ポンプが61件、消防用吸管が1件である。