平成21年版 消防白書

3 雪害対策の課題

雪害による人的被害の発生を防ぐためには、防災知識の普及啓発等を進めるとともに、平成18年豪雪を踏まえ次のような対策の推進が求められている。

(1)除雪作業における対策

平成18年豪雪では、全国で152人の死者が出たが、そのうち約3分の2にあたる99人が65歳以上の高齢者であり、うち76人が屋根の雪下ろし等、除雪作業中に死亡した。
このようなことを踏まえ、積雪時においては、特に高齢者等の災害時要援護者宅の状況を消防機関や福祉関係機関との連携による巡回等により把握し、除雪が困難又は危険な場合などについては、必要に応じ消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携協力の下、複数による除雪作業を行うことや、屋根の雪下ろしの際の命綱や滑り止めの着用、軒下での作業時の落雪への注意等について注意喚起を行うなど適切に対応することが必要である。

(2)なだれ等に対する適切な避難勧告等の発令・伝達

降積雪の状況等の情報、過去の雪害事例等を勘案し、なだれ、家屋の倒壊等により、住民の生命・身体に被害が及ぶおそれがあると判断したときは、遅滞なく避難の勧告・指示を行う必要がある。
また、避難の勧告・指示の伝達については、防災行政無線や消防団、自主防災組織をはじめとした効果的かつ確実な伝達手段を複合的に活用し、対象地域の住民に迅速かつ的確に伝達する必要がある。

(3)避難体制

避難路、避難所、避難誘導方法等を定め、住民に周知しておくとともに、雪害の特性を踏まえた安全性を確保する必要がある。
また、高齢者・障害者等の災害時要援護者については、消防団、自主防災組織、近隣居住者等との連携・協力の下、迅速な避難誘導に努める必要がある。

(4)防災体制の確立

災害が発生した場合には、関係機関とも連携し、消防機関の県内相互応援及び緊急消防援助隊の活用等、地方公共団体相互の広域的な応援活動により迅速な救助活動等に万全を期す必要がある。

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