平成21年版 消防白書

3 防災訓練の実施

大規模災害時に迅速な初動体制を確立し、的確な応急対策をとることは、被害を最小限に軽減するために重要であり、そのためには日頃から実戦的な対応力を身につけておく必要がある。中央防災会議で決定された総合防災訓練大綱では、国は各地域等で実施される防災訓練を積極的に支援することとされており、訓練方法については、努めて実際の判断・行動を伴う方式による実動訓練や図上訓練等を実施するよう推進している。
消防庁では、学識経験者、防災関係機関及び地方公共団体の職員等を委員とする図上型防災訓練マニュアル研究会を開催し、地方公共団体における実戦的・効果的な図上型防災訓練の実施を支援するための調査研究に取り組んでおり、平成20年度からは風水害をテーマとし、3カ年事業で調査研究を進めている。
また、地方公共団体に図上型防災訓練を普及するための事業として、平成21年11月には、市町村長や都道府県・市町村の防災担当幹部職員を対象に、的確な意思決定能力の向上と地域防災力の強化を図ることを目的とした体験型研修の防災特別セミナー「防災危機管理ラボin大津」を開催した。
さらに、市町村の防災担当職員を対象に図上型防災訓練の手法習得を目的とした「図上訓練体験研修」では、財団法人消防科学総合センターとともに、訓練の企画立案から実施に至る過程を指導支援することを通じ、実戦的な図上型防災訓練の普及に取り組んでいる。

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平成20年度においては、都道府県主催で延べ366回の防災訓練が実施されたほか、市区町村においても延べ5,946回の防災訓練が実施された。訓練に際しての災害想定は、都道府県、市町村共に地震・津波に対応するものが最も多く、訓練形態は地域住民等の参加を得た総合(実動)訓練が最も多い(第2-8-1表)。

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